フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義
著:田中宏隆 , 岡田亜希子、瀬川明秀
監:外村仁
世界各地のフードテックカンファレンスに参加した著者達が強く感じているのは、このグローバルで起きているフードイノベーションを、日本流で「正しい方向」に導くことが必要だということである。
...続きを読む今こそ、日本人が大切にしてきた食の価値観や考え方(おいしさ、健康そして環境配慮のバランス、多様性を重視する食風土、「もったいない」という精神、安全・安心なものをつくるマインドなど)で、このトレンドを牽引していく存在になるべきである。
本書の目的は、2つある。1つは、フードテックの全体像が起こってきた背景と注目される個別トレンドの徹底解説を通し、フードテックのトレンドを理解することである。もう1つは事業創造のトレンドを知ることである。食に関わる、あるいは今後関係し得る企業、研究者、投資家、あらゆる分野の専門家の方々が
どのうように新産業を共創していくか、その道筋を示すことである。
構成は以下の10章から成る。
①今、なぜ「フードテック」なのか
②世界で巻き起こるフードイノベーションの全体像
③With&アフターコロナ時代のフードテック
④代替プロテインの衝撃
⑤食領域のGAFAが生み出す新たな食体験
⑥超パーソナライゼーションが創る食の未来
⑦フードテックによる外食産業のアップデート
⑧フードテックを活用した食品リテールの進化
⑨食のイノベーション社会実装への道
⑩新産業「日本版フードテック市場」の創出に向けて
人類の生活で大切な3つの要素である
「衣・食・住」優先順位はつけられないものの、
人類は食べないと生きていけない。
世界700兆円の市場に世界のプレイヤーが名乗り出ている。
食については、上記の通り、食べないと生きていけないという「生きるための食事」だけではなく、「食事を通しての幸福感や楽しみ」という、「食」がもたらす影響は計り知れない。
そして、その生きるための食と幸福のための食を本書のフードイノベーションではどちらも同時に満たすことができる。フードテックといっても明確な区切りがあるわけでもなく、気づけば多くの業界を巻き込んでようやくひとつのエコシステムを作っており、曖昧ではなく、その不確定な要素のつながりが新しいイノベーションをもたらすことにもなる。
日本版食のイノベーションは世界の後追いではない、追随ではなく、世界のそれを踏まえた独自性でさらに世界を牽引するものである。日本の「食」文化については、出汁文化やモッタイナイ等の概念等世界的にも気づいていない日本の当たり前がまだまだ活躍する。
数年先には多くの日本のスタートアップがさらに世界で活躍していることを期待し、盛り上げていきたい。