「ニュートリノ」なんて、梶田先生がノーベル物理学賞を受賞しなければまず聞くことのない言葉です。
物理学を学んでいる人でも、詳しくは知らない(他人に説明できない)人が多いのではないでしょうか。
「ニュートリノ」は、「ニュー」「トリノ」ではなく neutr/ino だそうです。
neutr は「ニュー
...続きを読むトラル」で ino はイタリア語で「小さい」という意味で、電気的に中性で非常に小さい素粒子が「ニュートリノ」です。
「ニュートリノ」は誰かが見つけたのではなく、ある観測結果から「なくてはならないもの」として考えられたものです。
ある観測結果とは、中性子が崩壊して陽子と電子に変化する時にエネルギーが減ってしまうという現象です。
中性子が持っていたエネルギー > 崩壊後の陽子と電子のエネルギー
物理学の基本原理である、エネルギー保存の法則に従うなら、減った分のエネルギーに相当する「なくてはならないもの」が存在しなくてはなりません。
この(最先端の観測技術でもなかなか捉えられない)幽霊のような謎の素粒子を「ニュートリノ」と名付けたのです。
これだけ知っていれば、「ニュートリノってこんなものでしょ!」って知ったかぶりをしていいと思います。
「ニュートリノ」が存在する証拠を見つけるにはそれこそ「すごい実験」を根気強く続けなくてはなりません。
本書は2011年に刊行された「すごい実験」とほぼ同じ内容ですが、「すごい実験」は多田将さんが高校で行った4回の講義を書籍化したもので、Q&Aが随所に盛り込まれています。
本書は「すごい実験」の要約みたいな感じですが、ノーベル物理学賞受賞理由の「ニュートリノ振動」について章を設け詳しく説明しています。
私は、「すごい実験」よりも先に本書を読んじゃったのですが、「すごい実験」を先に読んだ方が良かったなあと思いました。
ニュートリノって何?と興味があるなら、本書の第1章「ニュートリノとは何か」(50ページくらい)だけ読んでみるのもいいかと思います。