タイイトル通り、万有引力定数から光速、プランク定数までの「定数」に関する解説だが、まず世界を人間が捉えるための空間や時間の単位の成り立ちから話が始まる。
距離=メートル法の確立や、時間=1秒の定義、等など、世界を把握するための基本の網目の編み方から詳しく説明してくれているし、しかもなるべく平易に、
...続きを読む数式を使った場合もその説明を欠かさず、如何に世界を人の思考と観察を使って分析していくのかということを説明してくれる。
『宇宙を支配する「定数」』という日本語タイトルには、なにか超越的な存在を示唆するような響きが有るが、内容に関しては、徹頭徹尾西洋科学的なアプローチ、つまり人間の能力と技術の及ぶ限り対象を分析して、その存在を分割対象化していく姿勢が伺える。
物理を学校教育で学んだ時には、その世界に対する見方の面白さよりも、公式などを暗記するような作業に辟易した記憶があるのだが、本来的にはこの本の内容のように、如何に人の使えるツールを発明・開発して、それを使って森羅万象の成り立ちを人間に分かるように見極めていくのかという、ある種の物語として読むことも可能なのだろう。
人の思考によって、物理的には絶対に手の届かない遥かな宇宙の構造までもを解き明かしていくことは、とても面白い体験です。