歴史文化学科の久住先生の本をはじめて読ませていただいたが、面白かった。
君主像(見られる身体としての君主)、政治空間、そして「王政復古は、単なる古代への回帰でも、伝統への回帰でもない。また、無からの出発でもない。天皇統治の「復活」とは、幕末の蓄積された政治的体験の上に登場するのである」(p.80)
...続きを読むと端的に述べられているように<幕末の将軍と近代天皇の連続性>など、新しい視角で王政復古の政治史を描く意欲作である。
「天皇は、くりかえし将軍や大名に「会う」ことで、権力者としての地位を高め、固めていった」(p.148)との指摘は重要であり、実際に本書ではその「会う」という行為がおこなわれた時間と場所(空間)の細部まで詳細に描くことによって歴史分析の面白さを伝えているように思う。
新書レベルながら専門研究とのディスタンスにも気が配られて叙述されており、勉強になった。