五賢帝時代の最後の哲学皇帝、マルクス・アウレリウスが日記帳のようなものに書き綴った内省の書。
2000年が経った今も哲学書の最高峰として燦然と輝いているのには驚きですが、久々に再読。
私自身も内省する事が多く、周りに振り回されない性質だと思っていたのにここ最近はどうも自我を見失っている気がしてなり
...続きを読むませんでした。
そのせいで前に進む事が出来ていない事に気付き、一度自分の原点を見つめ直そうと選んだのがこの『自省録』です。
そもそも禁欲主義であったマルクスとはスタート地点からして違うのですが、それでも金言の数々が心に刺さりました。
中でも自分に響いた一説をご紹介。
「どんなに小さな事であっても、1歩前に進んだのならそれで満足し、更にその結果は大した事無いと考えるのだ」
理想を叶える事を目的にするのでは無く、そこに向けて進んでいることが重要。
これです、これを見失っていたのです。
他にも、対人ストレス、己の才能のなさに絶望した時、先が見えない時、やる気が起こらない時、人生の残り時間を考えてしまう時、朝起きれなくて辛いよ!という時まで、それぞれ皆さんの抱えている生き辛さに対しての答えが大抵は詰まっています。
(マルクスほどの方が朝起きれないよ!ってのには親近感が湧きますが、きっと激務のせいでお疲れだったのでしょう。私のように本読みすぎた!みたいな理由では無いと思います)
元々が自分に対しての語り口調で綴られており、それがそのまま印字されていますので哲学書の中でも読みやすいと思います。
本当は哲学者になって読書と瞑想に明け暮れたかったのに、39歳で皇帝に即位させられ、国を守る為に先陣を切って戦場で駆け回っていたマルクス皇帝。その飾り気のない言葉の一つ一つには重みと深みと説得力があります。
結局は足を進めて暗闇から抜け出すのは己自身ですが、時には先の見えない暗い道を照らしてくれる灯りが欲しいものです。
この『自省録』はまさに多くの方の灯りとなる名著だと思います。