とても面白かった。読む前は人間社会の中で生きるのを中断してヤギのような生活をした記録を書いただけの本かと思っていた。読む前の自分のヤギに対する解像度は4足歩行をしている反芻動物くらいだったけれど、ヤギの外部骨格を作る過程をたどることで、たとえば背骨は真っ直ぐだということや鎖骨がないことを知った。ヤギ
...続きを読むの解剖した骨をヒトのように組み立てているところは、発想が面白いし、ヒトの骨格と非常に比べやすくなった。ヒトもヤギも他の動物もやはり自分の生活に特化した形質を持っているから、比較はするものではないなと改めて思った。筆者がヤギになるまでさまざまな困難があったけれど、ヤギになりたいという熱意でやり遂げていて本当にすごいなと思った。研究も面白いし、ところどころ筆者のコメントが入っていて気軽に読めて楽しかった。
「深い知性を離れ、泳ぎ出す僕についてきてくれ。一人だと溺れてしまうかもしれないからね」という言葉が素敵だなと思った。
脱人間を図る取り組みをトランスヒューマニズムというと知れた。