「種の起源の見解が,一般に受容されるときには,博物学に重大な革命がおこるであろう」
上巻に続き,自説に対する批判に応える形でダーウィンは自然選択による変化を伴う由来の論理を確かめていきます.化石記録が不完全であること,種によって地理的分布が広大であること.これに対する論説の中に「日本」発見.「・・
...続きを読む・これらオーストラリアの植物は・・北にむかって日本まで・・散らばっている.」あの有名なガラパゴスもでてきますが,イグアナやフィンチの絵もなく,下巻では各論もありません.「生命の最初のあけぼのにおいては,もっとも単純な構造をもつごく少数の種類があっただけであって,変化の速度は極度に緩徐であったと思われる.・・・世界の歴史ぜんたいは,いま知れられているところでは,無数の子孫の祖先である最初の生物が創造されていらい経過した諸時期に較べれば,ただ一片の時間にすぎないとみられることになるであろう.」時間スケール感覚の鋭さ以上に気になるのは,生命は生命から由来しているが,一番最初の生命は・・神様が創ったかな?と言ってしまっている点でしょうか? 下巻の付録にようやく進化という言葉が見られます.「進化」には前進発展的な意味もあり,変化はあくまでランダムで,それが自然選択によって徐々に方向性がつけられていく考えを伝えたかったとすると,ダーウィン自身にとってはあまりしっくりとする表現ではなかったのかもしれません.