帯の言葉通り、まさに「幻の&マジカル新本格」
これほどまでに美しい”本格型叙述トリック”にはそうそうお目にかかれない。
人間だと思わせて実は動物だったというジャブを食らわせてからの、
三つのバラバラな”殺犬”事件と思わせておいて、実は被害犬は全て同じという究極のミッシングリング。
マリーのユカへの
...続きを読む嫉妬だったり、メスの犬を彼女と呼んだりなど、少々やりすぎな部分はあるが、伏線は十分にある。
P.35の「こいつらは人間なんかじゃない」
P.204の「ただ美しい赤毛だからというだけで、三匹もの犬を殺そうとする人間はいない」などが特にスマート。
最後の探偵が犯人というのは不必要だとする向きもあるようだが、素直に驚いたし、このトリックを成り立たせるためにもあった方が良いだろう。
肝心の消失トリックは拍子抜けではあったが、この”ミッシングリンク”は素晴らしい。語り継がれるべき作品。
(作者の言葉の「人間消失」も伏線になっているのか...)