真社会性生物のアリ。5千万年前からほぼ現在と同様の形態。その魅力にハマり研究する筆者。真摯な研究態度に好感が持てる。
真社会生物とは、集団が協力して子育てを行い子供を産まない個体が存する、繁殖だげ行う女王が存在、世代が重なるという特性を持つ。ハチ、アリ、シロアリやハダカデバネズミなど。
筆者はハ
...続きを読むキリアリという巣でキノコを育てるアリの研究者。本書はハキリアリをはじめグンタイアリ今流行りのヒアリなどの不思議な生体と研究生活を実に分かりやすく語る。複雑かつ巧妙な生態がどのような過程で獲得されたか、謎が多い。
ヒトの歴史はたかだか20万年、5千万年の歴史のあるアリ社会は環境の変化に対するヒトの社会に役に立つ見本となるかもしれない。
バッタだったりウナギだったり鳥だったり、ニッチな研究について面白可笑しく語る本は一つのジャンル。だが本書で好感が持てるのは自虐、ウケ狙いが全くなく、筆者が本当にアリの魅力を語っているところ。専門的な内容であっても知的な発見の連続が本書で堪能できる。
筆者のアリ愛。一見無駄そうな基礎研究の大切さと楽しさを教えてくれる1冊でした。文句なしに五つ星です。