二〇〇七年七月十六日、中越沖地震によって東京電力柏崎刈羽原発で動いていた原子炉がすべて止まった。あわやメルトダウンまでいったといわれるこの事件を、地元紙記者たちが詳細な取材を重ねて著したものです。
この本を読みながら2007年の段階で、すでに警告があったんだな、ということを考えずにはいられません
...続きを読むでした。この本は2007年の7月16日に発生した中越沖地震に伴い。 東京電力柏崎刈羽原発で稼動していた原子炉がすべて停止し、あわや大惨事までいったという事件を地元紙である新潟日報社が詳細な取材を積み重ねて書き上げたものであります。
この段階で原発における「安全神話」は大きく揺らぎ、その後でも事件を総括する動きのてんやわんやさが全編にわたって描かれているということと、数少ない「地場産業」である原子力発電所にしがみついて生きている住民たちの不安な声が巻末に挟みこんであって、これを読みながら、原発をこれ以上維持するのは難しいかもしれないが、「国策」の名の下に原子力政策が進められて、その過程の中で生業を営んできた人間は一体どうすればいいのか?という疑問と、この事件を取材、総括しようとする新潟日報社の記者たちの丹念な仕事振りが積み重なっていて、こういうところにマスコミの「良心的な」部分がまだ残っているのだ、というかすかな希望を抱きました。
断層が縦横無尽に走る日本で原発を動かしてきた事実。この事件と「すでに起こってしまった」福島の原発事故をもう一度検証するのは、私たちにとって有意義なことであるのは疑いようもないと考えます。