一歩間違えればそれは私の物語だったかもしれないし、これからも一歩間違えば、それは私の物語になり得る。
世の中は決して、全ての人に優しくはつくられていない。男性にも女性にもだ。しかし、確かに女性ならではの困難さもある。特に子供についてのことは、決して男性にはわからないと思う。男性は産めない。女性は産め
...続きを読むる。ひとつの命を誕生させるかさせないか、それは遡って、その命を世に出したいと思える人に出会えるか、恋愛関係になれるか、といった別の分岐点を作り出す。男性にももちろん同じ分岐点はあるけれど、女性のそれとは違う。
この本に出てくる女性たちの最初のつまづきは、ほとんどの場合仕事で、みんなもっと世の中に必要とされたいと願っている。たぶん、その願いの方が仕事云々のことより本質的で、だからこそ彼女たちは悲壮に見える。これは個人的な認識だけれど、ほんとうに生きていくのに必要な給料しか稼げないと、その給料分しか自分は価値がないのではないかと思ってしまうものだと思う。そして、へこむ。何もしたくなくなる。
貧困、というタイトルは、言い得て妙だ。