本書は、「生産性をキーワードにした日本経済論ないし経済政策論」、生産性を切り口に日本の経済政策が論じられている。
論点は様々。イノベーション、人的資本投資、設備投資、経営の質、グローバル化、マクロ経済政策などと生産性の関係。
論じられ方は、筆者の考えを主張する、ということではなく、上記の論点と生産性
...続きを読むの関係に関する学術論文を丁寧に整理して紹介するというものである。
すごい労作。半端ない数の論文の調査と、ご自身の独自調査がベースとなっている。
いわば、調査論文とでも言うべきものであるが、読み物としても、非常に面白い。
経済政策について筆者ご自身の考えも、最後に述べられている。
ただ、メインは個々の経済政策についてではなく、政策を立案、実行する際には、「エビデンスベースに考えるべきこと」「新しい政策など、まだエビデンスが十分でない場合には、事後的にきちんと政策評価を行うこと」ということ。
この主張は、当たり前のように思えるが、実際には、このようには政策は決まっていない。また、企業内の意思決定も、そのようには行われていないこともあるのではないか?
マクロ経済学の面白さも感じさせてくれる。