コロナ禍のなかの中学生の5人、それぞれの視点から語られる5編による物語です。
マスク着用が義務化されたことで周囲にとけこむことができるようになったマスク依存症の子、シングルマザーの家庭で自粛要請の下で水商売を続ける母をもつ子、不登校だったがコロナでの臨時休校を機にイメージチェンジと再登校を狙う子、
...続きを読む家族全員がコロナに感染し一人取り残される子、かたくなにマスクをつけずにフェイスシールドで過ごす子。
それぞれに抱える「悩み」は、決してコロナ禍に特有のものではなく、小学生・中学生という思春期にはよくあるものです。
コロナ禍という異常事態であっても、中学生の悩みは変わりませんし、マスクの義務化や自宅待機などこれまでになかったような事件が起こっても、一つひとつ乗り越えながら成長してゆく様子には勇気づけられます。
これまでのYA作品にはない、「コロナが始まってから不自由な学校生活を余儀なくされた中学生」が主人公なのが、ちょうどいまの中高生の姿をリアルに描き出しているように見えますし、親近感を持って読むことができるのではないかと思います。