吐き出される性愛の情熱を、性の感動と渇望を、上品に穏やかに紡ぐ日本語の美しさにむせ返る。
じっとりと作品全体を包み込む古めかしい言い回しは、睦み合いの中でいかにもセクシャルな魅力をきらめかせていて、読んでいるとどひゃーとなってしまう。文字とはこんなにも卑猥を孕んでいたのか。すごい。一体どうやってこの
...続きを読む猥褻を隠し持ってたのか。
一言で説明がつきそうな性の状況を何ページにも渡ってうねうね説明してくれるのがしつこくて最高。
作品自体ほぼ性の話しかしていないのでその濃さの割に数時間で読み終えられる手軽さもよい。そして、ただ只管ずっと性の話をしているにもかかわらず、読んでいて何故か全く「こいつらずっとセックスしてんな」って呆れた気持ちにならない丁寧さと細やかさがたまらない。
スキャンダラスな告白を聞いているような気持ちでじりじりと話に聞き入ってしまうのだけれど、最後のページを読み終えた時の安堵と喪失と静かな絶望でアタマが真っ白になってしまった。どひゃあ、なんだそりゃ!若い女の考えることはとんでもないなあ!