伝統的な調査会社は、調査対象の匿名化やプロモーション活動との分離を定めた「マーケティング・リサーチ綱領」に縛られ、リサーチの厳格化の方向に突き進んだ結果、「生活者を理解し、ソリューションを提供する」という本来の目的から乖離し、調査の目的化が進行した。
一方、webテクノロジーの進化やソーシャルメデ
...続きを読むィアの台頭等により、従来はリサーチにより集めなければ入手できなかった情報が、自動的に吐き出され、「集まる」ようになってきた。
こうした時代背景を受け、従来の調査会社の枠を超えたところから、調査会社と競合するサービスが提供され始めた。象徴的なのが、Cookpad。マーケティングリサーチと商品プロモーションを一体化したソリューションを提供することで『知ることと伝えることが分離していたマーケティングの構造を変えた』(森下執行役員)。
本書では、従来型の、無作為抽出で非連続の意識調査の限界を指摘し、連続性がありリアルタイムに収集可能で自然に集まる行動ベースのデータをいかに収集・活用していくかが次世代のマーケティングリサーチに課せられた課題であると説く。
具体的には、以下の切り口で提言を行っている。
■蓄積されたデータから仮説を立てて検証する
■ひとりの生活者をリアルに想像する
■同じ対象を継続的に追いかけて変化を知る
■ストリーミングや動画のようにデータを扱う
■事実で語らせる実験的な手法を取り入れる
■つながりをデータの解釈に活用する
次世代のリサーチャーには、調査票を作る技術や、調査票に基づいて生活者データを集める技術だけではなく、「世の中にどんなデータが存在するのか?」「どうすればそこから生活者のインサイトを導き出せるか?」等の技術が不可欠となる。