自らがコンサルティングを行う不動産関係のIT技術について書いたもの。プロップテックとはPropertyとTechnologyを繋げた言葉で、不動産、建設、土木、金融などの業界の垣根を超えた分野を再定義し、イノベーションを起こさせようとするものである。よくFintechが話題に上がるが、FoodTec
...続きを読むhやAgriTechも異なる分野で同じ方向を向いている。従来の不動産業は、足で稼ぎ、書類により手続きも情報管理も行われていたが、物件のデータベース化、手続きの電子化、リモート化、情報のVR化など、様々な分野で変化が生じている。データベース化されることでAI活用による顧客の好みに合わせた提案や、適正な価格管理もできる。一見IT化が遅れている業界であるからこそ、今後のDX化によって大いに発展が期待できるともいえる。海外では規制が少ないこともあって、かなり進んでいるので、これからどれだけ追従できるかがカギのような気がする。
「PropTechとは、Property、つまりは土地や不動産といった財産を対象としたイノベーションを指す」p14
「Contechが対象とする建設業界は、主に土木と建築の二つに分けることができる。そして最大の特徴は、土木においては公共分野、すなわち国や自治体が主な発注者として市場のほとんどの割合を占め、建築分野も法人企業がその多くを占める、いわゆる「toB」をメインとした市場である」p16
「2020年に米国で上場した、オンラインによる不動産買取・再販を展開するOpendoorは、2014年の設立ながら、時価総額約1.5兆円、売上2500億円規模に成長している。これは日本の不動産業で言えば、三菱地所、三井不動産、住友不動産に次ぐ4番目の時価総額である」p61
「都心部については、中心部であるほど分譲可能な土地は限られてきており、大型のタワーマンションを含めた新築マンションの建築や開発は年々減少している」p69
「(迅速さと精度の向上を追求)「安く仕入れて高く売る」ということを目指しておらず、この方針を強く繰り返して発信している。これは、離婚や相続といった突然の事態に対して、顧客の足元を見て安く買い取り転売する、といったモデルではなく、住み替えニーズが発生した際の顧客に対して再定義された不動産取引を円滑に提供するという同社の想いがあるからだ」p74
「査定制度向上のために、複数のモデルを活用したアンサンブル学習を採用している」p74
「EasyKnockは、全米50州でリースバックを提供する企業である。リースバックとは、自身の自宅を売却した後も、家賃を支払い続けることでそのまま住むことができるサービスのこと」p85
「日本では、成約価格のデータを入力することが困難(レインズには売り手側の希望価格のみ入力されている)」p122
「((男女機会均等)シンポジウム参加者や登壇者は男女同数とする)日本では多くの企業やコミュニティが「実力主義に基づく評価をしている」と答えるが、海外においてはこの発信自体が受け入れられにくい。実力主義の場合には、明確に差が生じることを考慮して機会の均等化など取り組むべきことを実施した上で、実力を評価すべき、という考え方だ。そのため、コミュニティにおける登壇者の選定の際にも「女性だから登壇させるということはせずに、実力主義でメンバーを選定しました」ということは海外では受け入れられない」p192
「(最大の変化)賃貸住宅取引がすべてオンラインで完結するようになった」p208
「(ホテルへの宿泊)旅館業の所轄官庁は厚生労働省(滞在が30日以内であれば旅館業、それ以上であれば賃貸業(所轄は国土交通省))」p221