100年以上前の社会主義運動家の著者が書いた帝国主義の時代の批判であり、帝国主義とは何であるかというものを書いたもので、彼が国家により抹殺される(処刑:死刑)寸前に獄中で書いた死刑の前という未完の二編が収められている。
読んでいて思ったのだが、今の時代(安倍内閣)に押し進められていることなどが実に
...続きを読む合致すると感じた。
軍備拡張の動機として
政治家が軍備拡張を押し進めようとする動機は、一種の狂気、意味のない誇り、好戦的な愛国心であり、それがすべてである。また、軍人がたんに事件やさわぎの起こることを望み、多くの兵法・戦略をもてあそぶということもある。あるいは、武器や食料そのほかの軍需品を提供する資本家が、一攫千金の巨大な利益を得ようとして、軍備拡張をおし進めるということもある。
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軍人や資本家が彼らの野心を逞しくすることができたのは、じつは多数の人民が意味のない誇りと好戦的な愛国心に熱狂した機会に、うまくつけ込んだからである。
実に今の時代に合致する部分がある。
帝国主義とは何か
帝国主義とは幸徳の定義によれば
「愛国心」を経(たていと)とし、「軍国主義」を緯(よこいと)として、織りなされた政策
であるとしている。
まさに今の自民党の議員たちが愛国心愛国心と煽り、平和法制(戦争法案)を通そうとしていることがこれではないかと時代を100年さかのぼるような気持ちになる。
世界の人を愛し、差別もなく、憎しみもなければ愛国心というものは生まれない。生まれなくていいのだ。
他国の人々を憎むことによって自分の国に対する愛国心がある。子どもが窓から落ちそうになっている時にどこの国の子どもかどうかを考えていなければ全ての子どもを助けようとするが、戦争をしたり敵対している国があればその国の子どもであれば憎悪や侮蔑が生まれ、自分の国への愛国心があればそういう差別(区別)が生まれてしまう。愛国心でなく全ての人間を国は関係なく愛することが大事ではないだろうかと幸徳の根底にあるのではないかと思う。
獄中でしに対して第一章を書いたところで処刑され未完となったものはその当時の帝国主義の国家がまともな裁判もせずに抹殺してしまったから、幸徳という思想家の生きていたら書かれただろう日本の財産が断ち切られてしまった。
このような死刑は今の時代には出来ないだろうが、時代が100年以上経った今の日本に現在進行形で起きていることが、幸徳の批判した時代と変わらない部分が醸されてきていることに憂慮する。