河野多恵子の作品一覧
「河野多恵子」の「不意の声」「骨の肉・最後の時・砂の檻」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「河野多恵子」の「不意の声」「骨の肉・最後の時・砂の檻」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
徹底的に描きこまれた日常描写と、主人公への執拗な内面の接近が、本作を際立った傑作へと導いている。読者は強く張られた一本の糸の上を渡るよう強いられるような感覚を、文章から感じざるをえないだろう。
日常と狂気のグロテスクで単純な融和。父の声に勇気づけられて殺人を繰り返す主人公の異常な心理を見張っていると、もはや読後も安易な日常的思考に立ち帰れる自信が失われる。迷路は多くの分岐と行き止まりを含んだ隘路を指すだけではない。広い幅を含み、見上げるほど高い壁に囲まれた一本の道もまた、一種の迷路と呼べるのではないのか。
この小説は、そういった類の迷路に近い。両手を広げても、2つの手が同時に左右の壁に触