遊郭についてネットでしか情報収集をしてこなかったので、本を読んで理解したいと思って手に取った一冊
とてもわかりやすく驚いた。
いつの時代も吉原遊郭が最大だと思っていたので、中村遊郭(存在も本書で知った)が最大だった時期があると読み驚いた。
また、娼妓の人たちは遊郭から外に出て買い物に出れると思っ
...続きを読むていたのだがそうではなく遊郭内に商人が来て通常の倍以上の値段で売ってきたと知り驚いた。何故借金をなかなか返せないのだろうと思っていたが、そういうカラクリがあったとは…娼妓たちを縛り付けておくためとはいえエゲツないことするなと…
ただ、途中でお秀さんが言っていた、普通の会社も社長や取締役の接待会食費は経費から落ちるし働いた分の給与が全部もらえるわけではないというのは確かにそうだなと思った。割合はエゲツないけど…
お秀さんと著者がページを追うごとに砕けた感じになっていくのは、解説の井上さんがおっしゃっていたように著者と一緒に旅をし話を聞きに行っている気になりなんだかほっこりした。
p126で「そういった娼妓たちの心情を哀れとみるか、それともしたたかとみるか、それこそ所詮は部外書の淡い感傷というものかもしれない」という一文がとても胸に残った。
その時代、その場所で生きたものにしかわからない感情や空気があり、そのことを人に話す時点できっとフィルターにかけて言語化すると思うので、本当のところは当事者にしかわからない。
遊郭でしか生きれなかった人も遊郭にいったことで亡くなった人も遊郭外の世界と同じようにいるんだろうなと割合はもちろん違うと思うが。
売春が何故悪いのか、遊郭の成り立ちなど疑問に思うことが増えた。
中盤で「遊郭残酷物語」にはしたくないといっていた著者の人間性と文章に惹かれたので他の本も読んでみたいと思う。
遊郭の一部ではあるが僅かながら理解することができたのでとても良い本だった。