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氏神から産土神、株神を祀る。集落や同族、一家で神々を招くたびに役割を果たす神主の仕事とは? 祈祷・祭りと村の暮らしを描く。
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Posted by ブクログ
民俗学者にして神主の神崎宣武氏による地元備中高原の村の民俗エッセイ。30年ほど前に書かれたものの再刊だが、当時の村の人々の姿が見事にとらえられている。これは貴重な記録であり、読んでも面白い。備中神楽、中世の姿をとどめるような村、神仏習合的なものも残されているなど大変興味深い。さらにその場所が美星町で...続きを読むあり、星好きとしては思わず乗り出してしまう。たとえ美星は美山と星田の合併でたまたま付いた名前だとしても、それをもって村おこしをしているのだし。 しかしこの本に書かれている地域や家々などの祭りは今はどうなっているのだろう?気になるところではある。神崎さん続きを書いてくれないかなあ。 ちなみに現在4巻まで刊行されているゆうきまさみ氏のマンガ『新九郎奔る』(とても面白くなってきている)の今の舞台は美星町と同じ岡山県井原市である。なんと早雲の里荏原という駅もある。美星とはちょっと離れてはいるけど。 それぞれ気になる場所なのでいずれは行ってみたいものだ。
著者は戦後の岡山県の地方で神主をしている。 一方で東京で民俗学者としても働いている。 祖父や父親、またはその世代の老人たちからの話と自分の幼少時代から現在までの移り変わりを含めた奮闘記。 エッセイのようであるが、こうやって日々の暮らしが紡がれていくのだ、と思える、生きた民俗の本、という感じ。調査では...続きを読むなく、実体験として書いているので、その情景が目に浮かぶような気持ちになる。 著者自身の心の移り変わりも読み進める中で読み取れるので、継ぎたくなかった神主の仕事…東京で宮本常一と出会い民俗学に出会う…神主という立場から聞ける色んな話、歳をとってからわかる伝統を残すことの大切さ…という経緯を経て、最後に「東京に帰ったら、ワインを飲みに行こうー」と結ばれるところがすごく情感溢れて故郷愛をここから感じる…と思った。 全体を通して身近でリアルなので、小説に使えそうなことが散りばめられており、あの小説で、こんなシーンだったんだろうな、こんなことありそうだな、と世界が広がる気持ち。 ・荒神祭は親類縁者を漏らさず招く また、神主という立場であるが、きっと神主になりたくなかったこと、民俗学に出会って戻ってきたことを経ているからか神道の立場からの考えではない。 カミサマが人々の生活にどう存在して作用しているかという見方をしており、キリスト教などの宗教ではない、とはっきりといっている。 ・神々とは、驕りがちな人間の心を鎮める存在 ・信心は宗教にあらず 奥さんが病気になってから明るく穏やかな顔つきになった話 明治政府の神仏分離令で、ハレは神道(お宮参り、初詣)、ケガレは仏教(お葬式)となり、今も習慣としてこれが伝わっている。 これはハッとする新しい学びだった。
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