現代のSFをこれでもかと見せつけてくるのに、比較的読みやすいように思う。
「ちょっとSF読んでみたいんだけど」、と言われたときに勧めやすい一冊。
収録されている短編もハズレがない。
特に気に入った作品について感想を書いておく。
表題作の「なめらかな世界と、その敵」は曖昧でゆらいだ世界とその認識を
...続きを読むしっかりと文章で描ききっていてすごい。
伊藤計劃オマージュが多分に含まれているらしい「美亜羽へ贈る拳銃」も面白かったのだけど、伊藤計劃作品を未読なのが悔やまれる。
「ひかりより速く、ゆるやかに」は本当に”今”っぽい作品だった。
作中で起きる出来事の現実への目配せを感じつつも、心理描写や展開など、映像化しても映えるだろうなあ。
著者渾身の1万字のあとがきもSFに向けるじっとりとした愛が垣間見えて、読み物として非常におもしろかった。(これはハヤカワのnoteでも読めるので気になる人は読んでみると良さそう)