減成長を掲げる筆者が、GDPの妥当性に疑問を抱き、そレに基づく経済成長という考えについて再考するための本。
興味深かったのはGDPが冷戦時代に政治的背景から推し進められた神話だと主張しているところだ。
少なくとも80年代以降は、GDPと実質的な生活の上での豊かさの関係は無くなってきていると筆者は述
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拡大してきたのは富の一極集中とそれに基づく効率性であり、格差の拡大によってGDPが押し上げられてきたらしい。さらにGDPはかなり恣意的に数字をいじれる部分もあり、信頼性に欠けるそうだ。
リバウンド効果の話も面白かった。これは効率が良くなればなるほど、今まで以上に資源を利用してしまうことを意味している。「燃費が良くなったから、今まで以上に車を利用する」というようなことだ。
筆者は経済について再考するためにアリストテレスの時代の考えからさかのぼるところも実におもしろい。そして減成長という考えとその実行案を最後に示している。