作品一覧
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4.8
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレコアになる以外の人物については、そこを踏破した先人のルートをまず倣いたいというのが、自分の考えである。
道がどうできているか、何でできているか。そうした問いを全ての道へ向けることができれば文句はないが、それには時間が限られている。
だから、そうしたものをいちいち解体するのではなく、道を歩くガイドの言葉で語ってくれる書籍に、自分は特に強い信頼と安心をおぼえる。
そうした意味で、故梅木氏のこのルート取りは、サルトルという道を味わううえで格好のガイドであった。何より梅木氏自身も道だった。
直接性をめぐって苦闘するサルトルと、彼をめぐって苦闘してきた氏。
二つの道の味わい深さは、100ページあまりの -
Posted by ブクログ
著者のあとがきが感慨深い。いわくD1の時にサルトルが読めなくなったと。サルトル自身もフッサールについてそうした「汲み尽くし」があったと。その後の本書であっただけに、文章は流れるようでいながら、新たな驚き(可能性)と限界がちりばめられ、熱があります。
・サルトル的人間は、ひとりひとりが光を発し、世界を照射する光源のようなものです。その光は、それが及ぶ範囲で、真実を暴露し、絶対的な確実性を、つまり明証をもたらしてくれます。ただ、この光が強ければ強いほど、そのまわりの暗がりは深く、闇は濃くなっていくものです。P97※わたしという実存と世界や歴史との関係の深刻さ。