私はタバコを辞めるまで何度も失敗した。
しばらく止めると当初の苦しみは収まり、そんなに欲しくもなくなるが、
飲み会の付き合いなどで少し貰うと、そこから止まらなくなったものだった。
一旦依存症になると、減らして、ちょうどよい付き合いということはできない。
食事やセックス、ギャンブル、周りの人に優越し
...続きを読むたり褒められるなど、人が快感を感じる時に、脳内で作動する「快感回路」。
快感は生命維持の中心的な役割を果たす。
食べることや子孫を残すことに快感があるからこそ、多くの人はそこに執着する。
快感と依存症は隣り合う。
空腹になれば生物は何をおいても食べ物を探す。
これを衝き動かす快感回路に何か他のことがはまれば、それは依存症となる。
ドラッグやアルコール、ニコチン、ギャンブルなどは、この快感の仕組みをハックしている。
快感を伴う経験は記憶され、強化されていく。
依存症が個人の意思で克服できない構造がよくわかる。
例えばアルコール依存症の人がしばらく断ってから久しぶりに摂取したとき、非常に強い快感が発生する。
これを感作といって、依存症が再発をしやすい原因のひとつ。
個人的には、快感回路を刺激する別のものを見つけるのがよいのかなと思う。
酒を飲みたくなったらとにかく何か食べて胃に満足感を与えるとか。太るけど。
快感を覚える時、ドーパミンの放出が中心的な役割を果たすことは共通しているが、ドーパミンの放出が快感の本質ではないと筆者は述べる。それ自体は無味乾燥な刺激でしかない。
食事でいうと味の素のようなものか。
美味しい料理には適切なうまみが含まれているが、うまみの結晶である味の素をただ舐めても美味しい訳ではない。他の風味や香り、食感など複数の豊かな刺激が幸福な体験となる。
体験は重層的。
腹側被蓋野(ふくそくひがいや、ventral tegmental area, ventral tegmentum、VTA)のニューロンからドーパミンが放出される。