ユーザーレビュー ネアンデルタール人は私たちと交配した スヴァンテ・ペーボ / 野中香方子 ネアンデルタールが現世人類と交配した。少し前なら、ジュラシックパークなみの眉唾ものでした。 この本は、読みやすく分かりやすかったです。訳文もこなれて良いです。面白かったです。 Posted by ブクログ ネアンデルタール人は私たちと交配した スヴァンテ・ペーボ / 野中香方子 分子遺伝学、古人類学。 2022年にノーベル生理学・医学賞を受賞したSvante Paaboの著作。 現生人類の遺伝子の中にはネアンデルタール人由来の領域が含まれていることを発見した。 極めて緻密な実験設計、衛生管理により実現。 バイセクシャルらしい。 なんとも興味深い本だった。 Posted by ブクログ ネアンデルタール人は私たちと交配した スヴァンテ・ペーボ / 野中香方子 とてもおもしろく、一気に読んでしまった。そもそも読んだきっかけは、ResearchatというPodcastでおすすめ本として紹介されていたからだ。気軽に読み始めたのに本当に惹き込まれてしまい、ページを捲る手もわくわくも止まらなかった。「ネアンデルタール人は私達と交配した」ということは教科書やニュース...続きを読むで聞いており、更にアフリカを起源として人類がどう世界に発展してきたかも既に現在図説などでは当然の知識として載っている。その当然のものがどのようにして明らかになったのかと問われた時、「DNAを比べたから」という非常に簡潔な言葉一つで普通は終わり、そこにあまり感動もなければ驚きもない。しかし実際そこに行き着くまでのストーリー、人々の展開した論理、試行、努力、交渉…立ちはだかる「DNA」という物質の物性…それらが非常に事細かに語られたこの本は、「ネアンデルタール人は私達と交配した」という事実が明らかになったことがどれだけ奇跡的で、どれだけの知と血が注ぎ込まれた故の結果で、どれだけ衝撃的なものだったのか、というのを絶対に他では感じられないほどエキサイティングに教えてくれる。また研究という世界が如何なるものか-どれだけ競争的で、どれだけ不確かさの入り乱れたものなのか-というのも伝わってくる。「ネアンデルタール人は私達と交配した」ということで知識を終わらせなくて本当に良かった、とこの本を読んだ今心から思う。 Posted by ブクログ ネアンデルタール人は私たちと交配した スヴァンテ・ペーボ / 野中香方子 まず、この本は非常に面白い。『イヴの7人の娘たち』や『アダムの呪い』のように、遺伝子解析によって人類の歴史をたどる話は、自分にとってはほぼ外れなく面白いのだけれど、この本は特に研究界の競争の実情がよく伝わる内容になっていて興味深い。 本書では、著者のスヴァンテ・ペーボが、古代生物のゲノム解析の研究...続きを読む者として成功し、マックスプランク進化人類学研究所を率い、その分野の第一人者となる物語が自身の手で描かれている。その過程では、古代生物解析におけるDNA汚染の回避に向けた地道な闘いや、他研究機関との協力や競争の内実、研究者としてのテーマ選択やキャリア形成、メディアとのやりとりなどが描かれていて実に面白い。熾烈で情け容赦がない先陣争いやそれにまつわるどろどろとした感情も伝わってくる。 著者の研究対象は、古代生物のDNAであり、タイトルにあるネアンデルタール人だけではないのだが、やはり著者を一躍有名にしたネアンデルタール人DNA解析の話のインパクトが大きい。さらに驚くべきことは、かつてアフリカから出たわれわれの遠い祖先は、約三万年前にすでに欧州にいたネアンデルタール人と出会い、そして交配したという事実の発見だ。その交配の痕跡がわれわれのDNAに刻まれているという。驚いたことに、アフリカを除く現生人類の遺伝子の約2%がネアンデルタール人由来のものであるという。この割合はヨーロッパ人でもアジア人でも大きくは変わらないことから、現生人類とネアンデールタール人がいつどのように出会ったのかまで推定できる。残されたDNAの分析からそこまでわかるのか、とまさに科学の力を見せつけた事例だと思う。今後、遺伝子学によって、人類についてますます多くのことがわかり、ますます多くのことができるようになるだろう。 科学研究の話だけでなく、著者がバイセクシャルであることや、研究者仲間の妻となっていた昔の同僚の女性を略奪する形で結婚したことまで赤裸々というよりも淡々とした調子で書かれている。こういった自伝的要素も含まれているのも単なる科学解説書にはないこの本の特徴である。 それはともかく、面白いので読んでもらいたい。 Posted by ブクログ ネアンデルタール人は私たちと交配した スヴァンテ・ペーボ / 野中香方子 ノーベル賞も受賞されたスワンテぺーボ博士の自伝である。 古代DNAの解析に取り組み、進化のミステリーに挑み続けた歴史がわかる。 最新のDNAシーケンスの技術は常に取り入れているものの、科学的に難しいアプローチはほとんどなく、ただひたすらに内在性のピュアなDNAを抽出しシーケンスし、私たちの祖先とネア...続きを読むンデルタール人との関係を紐解く情熱には心打たれる。 真摯さ、謙虚さ、大胆さ、ユニークさ、超一流の科学者の心の動きや思考力などを垣間見える素晴らしい一冊だった。 Posted by ブクログ スヴァンテ・ペーボのレビューをもっと見る