オードリーヘップバーン主演の映画、マイフェアレディの原作。映画は恋愛ものとして楽しんで観たが、実は奥深い内容だったことを知り原作を読んだ。
イギリスには、アカデミーという、国家に準ずるような機関が発音や文法を統一した過去があり、現在もそのような慣習が存在し、差別につながっている。つまり、正しいとされ
...続きを読むる発音や文法を使用しないと、階級が低いと見なされているという。
この小説は、花売りが職業という、毎日を生きていくのに必死な身分の低い娘が、上流階級の発音を手に入れ、豊かな暮らしもできるようになったのに、逆に様々なしきたりに縛られ不自由だと感じ、過去の自由だった自分に戻りたいと思う話。だが過去の生活には戻らない。
何も考えずに読み進めていくと、発音を矯正したわがまま独身男のヒギンズ博士に引っ張られ、物語の肝心な部分を見逃してしまうが、作者が意図したのは、上流階級のものが身につけている発音や文法なんて薄っぺらなもので、その気になれば数か月で誰でも身につけられるもの。それを鼻にかけて下層階級のものを馬鹿にする上流階級の人たちへの批判がこのこめられているという。