ぶっちゃけた所、ネコは仕事でこの本の内容を専門的に扱っている。生命倫理に対しては一般の人よりは詳しい。
この本が書かれたのは1990年代。
一番感じたのは「ほんの十数年前には、まだここまでだったんだ。」という感覚。
つまり、死に対する医療でのアプローチは、日本では本当にはじまったばかりで未熟なんだ
...続きを読むなぁ。
よくできた本だと思う。
一般向けなので、簡単でわかりやすい。
僕にとっては物足りないのは否めないけど……。
読んだことない人には気軽におすすめできるボリュームだし、これが、その人が「死」というものを見つめるキッカケになってくれるのに良い。
例えば社会的な死。
例えば細胞レベルも含めた生物としての死。
時には生命の誕生の瞬間まで踏み込んで、生と死を扱いだして6年が過ぎた。
ずっと注目してきたES細胞、そしてips細胞も、今や一般の人でも知らない者が少ない時代になった。
でも、たかだかこれぐらいしか、歩みはじめてないんだなぁ。
結果的に、僕はよく「死」のことを口に出すことが多くなった。
自分が死ぬ、大切な人が死ぬ、嫌いな人が死ぬ。
でも、それは決してネガティブな意味でなくて、強烈にポジティブな感覚なんだよね。
死を見つめるからこそ、今を生きる。
死から目を逸らさずに、自分が死ぬことをとらえて生きる。
そんな癖が、いつの間にかついてしまった。
人の死生観は、考えている以上に短期間で簡単に覆ってきた歴史がある。
日本で「自殺が絶対にいけない」「命より大切なものはない」と考えられるようになったのは、案外と近年なんだよね。それも、次第に変わりつつあるけどさ。
これから、どのような変化を起こすのか?
もしかして今では想像できないような生死観が待っているのだろうか?
それが、この本を読んで一番思ったこと。