作品一覧

  • ぼくは物覚えが悪い 健忘症患者H・Mの生涯

    Posted by ブクログ

    てんかん治療として海馬を手術によって除去され、記憶障害となった有名な患者H.M.。著者は、彼を長年研究した医師である。本書で彼はH.M.=ヘンリー・グスラフ・モレゾンとして再度名前を与えられ、単なる特殊な症状を有する研究対象ではなく、ひとりの人間としての彼の人生に光を当てられる。多くの脳神経科学を紹介する本でも紹介されたH.M.が、つい最近の2008年まで存命だったというのは驚きだ。今後脳の海馬切除手術は行われることもなく、H.M.のような患者は二度と現れないことを鑑みると、PETやfMRIなど脳内の活動を計測する装置が進化した近年まで存命であり、それらによる検査を受けることができたのは科学に

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    2016年03月21日
  • ぼくは物覚えが悪い 健忘症患者H・Mの生涯

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    ものすごい本だった。これは文庫化くらいをタイミングにか、少々ヒットするように思う。
    約50年ほど前にてんかんの治療手術のために、脳の一部を摘出した結果、手術前と20秒以内の記憶しかなくなってしまった患者の生涯と、彼の貢献などにより発達した記憶に関する研究の本。
    扱ってるテーマからして重厚な上に、専門知識がないとしんどい部分も多々あるけど、人間性を構築する要素とは、とか、人生とは、記憶力とはなど、多様な問いが立てられるし、一学術分野の進歩や記憶について知識を得ることもできる、かなり読み応えのある一冊。

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    2015年01月13日
  • ぼくは物覚えが悪い 健忘症患者H・Mの生涯

    Posted by ブクログ

    脳の一部摘出手術を受け記憶する能力を失ったH・Mことヘンリー・モリソンについて50年近く研究を通して歩んできた学者がその間得られた脳の機能について、およびH・Mの人生について記述する。
    H・Mは転換の重い発作のため1900年代半ばに海馬周辺の摘出手術を受ける。その時はわからなかったが、両方の海馬の機能を失うことで30秒程度以上の記憶を保持することがほとんど出来なくなってしまった。一方手術以前の記憶は残っていたり、体を動かすような記憶や意味記憶(エピソード記憶でない)はわずかではあるが出来ていたりする。これは記憶が単に脳のある箇所だけで行われるのではなく、様々な部位で行われることを示した。また意

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    2015年03月11日
  • ぼくは物覚えが悪い 健忘症患者H・Mの生涯

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    望みをかけて臨んだてんかんの治療のための手術で
    脳の一部を切除し、術後からの記憶をとどめることが
    出来なくなったヘンリーの記録。

    現在に閉じ込められた…と聞いても
    中々どんな状況なのかなんて想像もつきません。

    会う人々がみんな知らない人。
    今いる場所もわからない。なぜそこにいるかも。
    お腹がすいているかもや喉の渇きもわからない。
    時間がたつとどこがどういう風に痛いのかも説明できない。
    家族が亡くなったのも覚えていられない。

    こんな状況で、いつも笑みをたやさず
    自分からすすんで脳科学の研究に協力するヘンリー。

    自分らしさを形作るものは、膨大な過去が
    積みあげてきたものによると思っていた私

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    2015年02月20日
  • ぼくは物覚えが悪い 健忘症患者H・Mの生涯

    Posted by ブクログ

    うまく考えがまとまらない。
    技術の進歩、研究者のたゆまぬ努力、ヘンリーの存在、様々な偶然が重なって多くの発見に結びついた。
    研究対象としての人生って、どうなんだろう?
    本人だったら?身内だったら??

    それにしてもこれほどまでに実験には根気がいるものなのか。

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    2015年01月23日

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