「幽」怪談文学賞大賞受賞作(短編部門)の感想の一言目にどうかと思うけれど……
怖くなくてほっとしたー!
そこはかさん、という響きに惹かれて手にしたものの、
怖いお話が年々ニガテになっているので不安で。
読んでみると「そこはかさん」、なんて絶妙なネーミング!
存在も現象もそこはかとない。
そこはかと
...続きを読むなく怖くて、そこはかとなく優しい。
書下ろし2篇を加えた3篇収録。
作品の出来としては、受賞作の1話目が一番いいと思う。
築150年の古い家屋のそこここにある闇。
おくどさんの裏にひっそりと埋もれているかもしれない命。
お釜に入っていく青い光と、ごはんの中の黒いナニカ。
はっきり怖くないけれど、ぞぞっとする。
2話目と3話目は、舞台も登場人物も違うけれど続き物のようになっていて、
双子にこだわりすぎて、多少こじつけ感と複雑にし過ぎた感がある。
英国が舞台の3話目は、独立した別の作品でもよかったかもしれない。
英国好きとしては楽しく読めたので、よけいに勿体ないような気がする。
ゴシック風味と和風味、意外に親和性が高くて驚いた。
妖精(妖怪)や幽霊が好きなお国柄どうしと書かれていて納得。