リンパ管に対する研究の歴史的経緯とリンパ浮腫の治療についてまとまっている。
今まで血管系と比して研究の対象とされてこなかった分野だが、婦人科腫瘍に対する手術後高率に発生するリンパ浮腫など生活上非常に困っている人も多い。
リンパ管肉腫(Stewart-Treves症候群)など生命予後を規定する疾患も
...続きを読む発生することからも、重要な領域である。
しかしながら、リンパに関する研究、治療どちらも一般的とはいえる規模には至っておらず(勿論優秀な研究者、臨床家の先生方はいらっしゃると思うが、たとえば婦人科腫瘍の治療とリンパ浮腫の治療の規模が違いすぎる)、更なるデータの蓄積を待ってからこのような本が現れてもよかったのではないかと思う。そのことを思いながら著者のあとがきを読み「時間切れ」という言葉に忸怩たる思いを感じ取った。