最近ニュースなどで、「自由」という言葉を聞くことが増えています。
この言葉が用いられると、「良い」というイメージが付きまといます。
しかし、実際には「自由」とは何かを真剣に考えることはあまりありません。
本書は、「自由であるって、本当に幸せなんだろうか」という問題意識を提起するものです。
「自由であ
...続きを読むる」ということは、自分に選択肢が与えられるということであり、
したがって、他人がその人となりを判断できることになります。
著者は、身近な題材・ユニークな題材を用いて、自由と服従(従属)の関係を類型化しようと試みます。
「人は、自由であるがゆえに、知らず知らずのうちに、他人の評価を気にし、それに服従している」というのが、著者の主張です。
つまり、「自由」は肯定され、「服従」は否定されるべき−そんな単純な図式を否定するのです。
非常に興味深いです。
ただし、「自由」と「服従」とを表裏一体のものと主張してきた著者が、後半には「服従」だけを無くそうとしている点などは、前半の論旨と多少の食い違いがあるように思われます。
最初にも書きましたが、「自由」が至上のもののように扱われている時代だからこそ、
その「自由」とは何なのかを冷静に見つめたいと思います。