ユーザーレビュー ラーマーヤナ(上) 河田清史 495 インド伝説の英雄ラーマを主人公とする歌物語。インドの二大古典叙事詩のひとつ「ラーマーヤナ」はインドの誇る世界文学の一つであり、アジア人の心のふるさとともいえます。「一の巻」から「四の巻」までの17話を上巻に収めています。 ラーマが 結婚 してから 一年 ばかりたったころ、ダサラタ 王 ...続きを読むは 政事 から 身 をひく 決心 をしました。 ──インドの 聖典 が 命じているとおりに、 浮世 からはなれ、 余生 をささげて 神 につかえたいとお 考えになったのです。インドの 男 の 一生 は、まず 二十歳 までは 学問 にはげみ、それから 二十 五 年 は 家族 をやしない 育て、その後 の 余生 は 聖者 や 学者 の 仲間 にはいって、 神 の 道 をおさめることになっていました。 そこでしかたがない、むすこどころか、むすこをころしたわたくしが 話しかけた。カウサルヤー、そのときの 有様 が、いまこの 場 でありありとみえるのだ。わたくしはそのむすこのめくらの 両親 に、いたましいできごとをうちあけた。わたくしが 話してしまうと、 両親 は 目 がみえないので、むすこの 亡骸 を 手 でさぐっていた。 大 ごえでなげき 悲しんでいたが、いきなり 父親 がわたくしに 呪いをかけた。 神 の 名 によって 呪いをかけたのです。 ──おまえもいつかは、 自分 のしたとおりのことを 仕返しされるだろう。おまえもきっと 自分 のむすこをうしない、そのため 苦しんで 死ぬことになるのだ! カウサルヤー、どうかだまってきいておくれ。その 呪いがとうとうやってきたのだ。いまわたくしは 死 の 国 へいくところです。ああ、さっきから 目 にみえぬどこかで、わたくしをよんでいるのがきこえる……」 こういったかと 思うと、 国王 は 気 をうしない、カウサルヤー 妃 の 足もとにたおれて、 亡くなってしまいました。 よい 行 ないであっても、 悪い 行 ないであっても、 人 が 天国 へいって 魂 がやすらかになるまでは、まといついてはなれません。 人 は 乞食 であろうが、 王さまであろうが、 自分 がひとたびしてしまったことをかえることはできないのです。 毎朝、ラーマとラクシマナは 狩りにでかけました。 聖者 のアトリはじっとおしだまって 日の出 から 日 の 暮れまで 一日 じゅう 神 にお祈りをしていました。ふたりの 王子 が 目 にするあたらしいものをあれこれしらべているあいだに、 聖者 はその 反対 に 目 にみえないことがらをするどくみとおしていました。 ある 日 のこと、ふたりが 河 の 岸 べにすわっていると、アナスヤーがシータにたずねました。 「おうつくしい 王女 さま、どうしてシータなどという 地味 なお 名前 をつけられたのでございましょう?── すき の 先 から 生まれたという 意味 ではございませんか。つまり 地面 からはえたという 意味 なのでございましょう?」 シータはそれにこたえていいました。 「わたくしの 父 のジャナカ 王 はひとりもこどもがありませんでした。それである 日、こどもをさずけてくださるように 神さまにお祈りしました。たいそう 熱心 にお祈りしたので、 神さまも 父 の 願いをおききとどけになったのでしょう。その 夜、 父 はいい 夢 をみました。 夢 のなかで 土 をたがやせ、とお告げがあったのでございます。ラーマーヤナ(上) (レグルス文庫) by 河田清史 ラーマが 結婚 してから 一年 ばかりたったころ、ダサラタ 王 は 政事 から 身 をひく 決心 をしました。 ──インドの 聖典 が 命じているとおりに、 浮世 からはなれ、 余生 をささげて 神 につかえたいとお 考えになったのです。インドの 男 の 一生 は、まず 二十歳 までは 学問 にはげみ、それから 二十 五 年 は 家族 をやしない 育て、その後 の 余生 は 聖者 や 学者 の 仲間 にはいって、 神 の 道 をおさめることになっていました。 そこでしかたがない、むすこどころか、むすこをころしたわたくしが 話しかけた。カウサルヤー、そのときの 有様 が、いまこの 場 でありありとみえるのだ。わたくしはそのむすこのめくらの 両親 に、いたましいできごとをうちあけた。わたくしが 話してしまうと、 両親 は 目 がみえないので、むすこの 亡骸 を 手 でさぐっていた。 大 ごえでなげき 悲しんでいたが、いきなり 父親 がわたくしに 呪いをかけた。 神 の 名 によって 呪いをかけたのです。 ──おまえもいつかは、 自分 のしたとおりのことを 仕返しされるだろう。おまえもきっと 自分 のむすこをうしない、そのため 苦しんで 死ぬことになるのだ! カウサルヤー、どうかだまってきいておくれ。その 呪いがとうとうやってきたのだ。いまわたくしは 死 の 国 へいくところです。ああ、さっきから 目 にみえぬどこかで、わたくしをよんでいるのがきこえる……」 こういったかと 思うと、 国王 は 気 をうしない、カウサルヤー 妃 の 足もとにたおれて、 亡くなってしまいました。 よい 行 ないであっても、 悪い 行 ないであっても、 人 が 天国 へいって 魂 がやすらかになるまでは、まといついてはなれません。 人 は 乞食 であろうが、 王さまであろうが、 自分 がひとたびしてしまったことをかえることはできないのです。 毎朝、ラーマとラクシマナは 狩りにでかけました。 聖者 のアトリはじっとおしだまって 日の出 から 日 の 暮れまで 一日 じゅう 神 にお祈りをしていました。ふたりの 王子 が 目 にするあたらしいものをあれこれしらべているあいだに、 聖者 はその 反対 に 目 にみえないことがらをするどくみとおしていました。 ある 日 のこと、ふたりが 河 の 岸 べにすわっていると、アナスヤーがシータにたずねました。 「おうつくしい 王女 さま、どうしてシータなどという 地味 なお 名前 をつけられたのでございましょう?── すき の 先 から 生まれたという 意味 ではございませんか。つまり 地面 からはえたという 意味 なのでございましょう?」 シータはそれにこたえていいました。 「わたくしの 父 のジャナカ 王 はひとりもこどもがありませんでした。それである 日、こどもをさずけてくださるように 神さまにお祈りしました。たいそう 熱心 にお祈りしたので、 神さまも 父 の 願いをおききとどけになったのでしょう。その 夜、 父 はいい 夢 をみました。 夢 のなかで 土 をたがやせ、とお告げがあったのでございます。 Posted by ブクログ ラーマーヤナ(下) 河田清史 ハニュマーンの活躍がすごい。 今にも通ずる普遍的な教えがある。 (すぐ忘れるんだからメモするべきでしたね…) 無敵に見えるラーバナやほかの兄弟たちにもきちんと弱点があって、力を発揮するのには条件があったり、ラーマが放つ矢も全てが同じものではなかったり。そういった設定が、なんでもありに見えて制約があ...続きを読むるところは現実的でもある。 こんなRPGゲームあったような…という感じ。 時折読み返したいような物語。 (インドの人たちは覚えるくらい語り継いでいるらしいが…) Posted by ブクログ ラーマーヤナ(上) 河田清史 RRRを観て気になっていたら知り合いが、この本が読みやすいよ、と。 小中学生でも読めるような、童話っぽい感じですごく読みやすかったです! 上巻はシータがさらわれるところまで。 古事記や聖書もそうだけれど、創世記のようなお話は現実とファンタジーが混ぜこぜになっていて面白い。 神様と人や猿などの動物...続きを読むは別物なんだけど、接点があって近しい感じ。 ところどころ映画で観たシーンや聞いた名前があり、おお!っとなりながら、下巻へ。 Posted by ブクログ ラーマーヤナ(上) 河田清史 RRRの元となった作品として気になって読んだ。非常に読みやすい文体で楽しく物語を読むことができた。 物語として面白いだけでなく、人間はどうあるべきかという道徳的な側面もあり、学びになった。 Posted by ブクログ ラーマーヤナ(下) 河田清史 内容がシンプルだが、物語の原点なんだろうなと思わせてくれる書籍。 口頭伝承で伝わっていたというのだから、当時の誰もが好んでいた作品であることも納得である。 Posted by ブクログ 河田清史のレビューをもっと見る