作品一覧 2023/10/06更新 春にして君を離れ 試し読み フォロー 火曜クラブ 試し読み フォロー 愛の重さ 試し読み フォロー 愛の旋律 試し読み フォロー アクナーテン 試し読み フォロー エンド・ハウス殺人事件 試し読み フォロー 黄色いアイリス 試し読み フォロー 暗い抱擁 試し読み フォロー 三幕殺人事件 試し読み フォロー バグダッドの秘密 試し読み フォロー ビッグ4 試し読み フォロー ブラック・コーヒー〔小説版〕 試し読み フォロー ブルートレイン殺人事件 試し読み フォロー 別世界物語 試し読み フォロー 牧師館殺人事件 試し読み フォロー ぼく,デイヴィッド 試し読み フォロー マダム・ジゼル殺人事件 試し読み フォロー マン島の黄金 試し読み フォロー 未完の肖像 試し読み フォロー 娘は娘 試し読み フォロー 1~20件目 / 20件<<<1・・・・・・・・・>>> 中村妙子の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 春にして君を離れ アガサ・クリスティー / 中村妙子 結局、人間は変わることはない。 殺伐とした人肌の恋しい環境下での気の迷い、魔が差しただけ。 変わるには歳を取り過ぎた?←差別的かも だが、救いといえば夫はそうした妻の本質を理解していること。他者への理解が及ばなくても、少なくとも夫には理解されている。 まあ、あくまで主人公の視点で語られる物語なの...続きを読むで、主人公視点で見たら、というのはどの物語にも忘れてはならない要素ではあるが。 Posted by ブクログ 春にして君を離れ アガサ・クリスティー / 中村妙子 教育における教師あり学習と強化学習について考えさせられた。子供の将来を案ずるあまり教師あり学習を強いる親は多いが、人間は他人がラベリングした価値観に従い続けることはできないのだろう。子供を育てる機会があれば気をつけたい。 解説ではロドリーに対しての指摘が書いてあったが、ロドリーの立場に置かれたら...続きを読む、家庭から背を向けレスリーとも肉体関係を持ってしまう人が多いと私は思う。多忙の中でジェーンのヒステリーを抑えつつ子供と信頼関係を築き、レスリーと距離を取った彼は父親として素晴らしいと思う。 結局ジェーンが変わらないところも好きだった。彼女から謝罪されたところでロドリーの若い日々は戻らないのだから虚しいだけだ。彼女が目を覚まさず、狭い価値観の中で幸せに生きることでのみ彼の犠牲が報われると個人的には思う。 誰かと生きるために、自分の心を閉ざした経験がある人におすすめの本。 Posted by ブクログ 春にして君を離れ アガサ・クリスティー / 中村妙子 プアリトルジョーン、なんでそっちを選んだの。そりゃ現実は怖いけどさ。 そんで夫も全部ジョーンのせいにしてるけど、無責任なやつやで。子どもがかわいそう。あんな難あり女と子ども3人もつくってんのかい。てのもツッコミどころやけど。 現実を直視したくないから忙しく暮らしてる人っているよな。現代人は多かれ少な...続きを読むかれ、誰しもがそうなんかも。どうやら昔の人もそうやったらしい。 人間って、、、という本でした。 Posted by ブクログ 春にして君を離れ アガサ・クリスティー / 中村妙子 三人の子どもたちも成人し、夫との仲も良好。何不自由ない人生を送るジョーンは、学生時代、学園の中心的存在だったブランチと再会する。かつての美しさを失い落ちぶれたブランチの奔放な男性遍歴を聞かされるうちに、ジョーンは自分の人生に疑問を抱くようになる。 客観的に見ると、現段階においてはジョーンの方が満ち足...続きを読むりた人生を送っているけれど、ブランチの放つ「あなたは堅い」という言葉が真面目一辺倒だったジョーンに絶妙な劣等感を与える。お互いが自分よりも相手の方が不幸だと思いながら、それは結局自分自身を突き刺す刃でもある。 思いがけず足止めを食らい時間を持て余したレストハウスで、ジョーンは自分のこと、夫のこと、子どもたちのことに思いを巡らせる。全体としてはうまくいっている家族なのに、思い出すのは小さな諍いや子どもたちの心ない言葉ばかり。しかしジョーン自身も、子どもたちを自分の理想の枠に嵌めようとしてきた。自分はこんなにも子どものことを考えているのに、なぜ彼らは言う通りにしてくれないのかという葛藤に悩まされることの方が多かった。 娘にこうあって欲しいと願う母親、母親の理想の型に嵌められたくない年頃の娘たち、寛容さを示して娘たちから信頼される父親。家族の絶妙な不和や歪さ、疎外感・孤独感がこれでもかというくらいリアルに描かれている。 家族の回想や、ブランチとの再会、滞在先でのインド人やアラブ人との交流を通して「人生はこうあるべき」という固定観念にとらわれ続けていたジョーンが自問自答していく。その中にあって、かつてジョーンの前でロドリーが娘であるエイヴラルにぶつけた言葉はかなり残酷。 人が死ぬわけでもなければ、探偵が登場するわけでもなく、ただひたすら一つの家族を描いている。それなのに引き込まれる。自分探しの旅とはよく言ったもので、この旅を通して、ジョーンはジョーン・スカダモアを見きわめる。旅から帰ったジョーンが選ぶ模様と、ロドニー視点のエピローグが秀逸。ここにクリスティの冷徹さを感じた。 人間の内面を巧みに描くクリスティ作品の中でも最高レベルの作品だと思う。 農業をやりたいと言った時のロドニーとジョーンのやり取りに、ネットでよく見る夫の私物を処分した妻の話を思い出した。 Posted by ブクログ アクナーテン アガサ・クリスティー / 中村妙子 アクナーテン どんな作品でもそうだが取りかかる順番はとても大事で、相乗効果で面白さが増す事がよくある。今作、「アクナーテン」を読む前に「ファラオの密室」(2024年)という作品を読んでいた為、世界観が踏襲され、まるで続編を読んでいるかの様な感覚になった。 「ファラオの密室」では神官とこの時代に生...続きを読むきる市民や奴隷、神々を中心に物語が描かれ、「アクナーテン」ではこの時代のファラオ、王族達を中心に物語が進められる。 今作に登場するファラオ、アクナーテン(おそらくアクエンアテンは読み方の違い)は愛と平和に憧憬する王なのだが、歴史上は余り評価されていない。彼が憧れる世界は理想郷であり、人間の悪い部分、醜い部分が一切見れていない。 彼の母親であるアイや妻であるネフェルティティ、心から信頼しているホルエムヘブなど彼を慕う人物達も沢山いる中で、大国エジプトのファラオの強大な権力、影響力が如何に秩序をもたらしていたのかという事がとてもわかりやすく設定されている。 戯曲は読み慣れていないし、実はクリスティ作品は沢山読んでいたが戯曲と恋愛シリーズは手付かずだったのだが、上記のきっかけもあり、クリスティ作品をもっと楽しみたい思惑もあり、読み始めてみた。 また、エジプト史は学生時代に興味を持っていた分野だったので、抵抗がなく、更に「ファラオの密室」で感じた余韻を楽しみたい意図もあり決心した次第だ。 世界観について、クリスティの設定は見事で、考古学に深い理解のある彼女ならではだと思う。 アクナーテンは悪王としての印象があるが、決してエジプトを滅亡に導いた訳ではなく、彼の思想、経験が破滅への土台になっていたという設定だ。彼はエジプトの神々を抹消し、一神教を強要していくが、その中で腹心であったはずのホルエムヘブさえもが彼の元をさり、最後、唯一愛したネフェルティティのみが彼の元に残るのは印象的な結末だ。 同じ時期にエジプトに関わる偉大な作品を、しかもミステリ、戯曲という型で読む事ができ、改めてエジプト史への興味が湧いてきたと同時に、ツタンカーメンに関わる文庫がまだ家にあったため、いずれ読もうと思う。 アクナーテンだけの感想では無いが、とても楽しめた一週間だった。 Posted by ブクログ 中村妙子のレビューをもっと見る