僕は舞台の事は詳しくないが、イギリスでもっともロングランしていた作品がこの作品の様だ。
過去に小説版を読んでいるが、戯曲についても楽しむ事が出来た。戯曲の方が少し抒情的に感じるのは小説版から時間が経っているせいか。戯曲構成の為か。いずれにせよ、クリスティ作品の中でも完成度は抜群で余計なものが無い
...続きを読む、研ぎ澄まされた様な作品だ。
クリスティの傑作、名作は数十作に上るが、今作では「これぞクリスティ!!」と舌を巻く、王道の「雪の密室」と「フーダニット」そして「メロドラマ」の組み合わせだ。最後のオチまでしっかりと描かれており、舞台は観ずともミステリーとして面白い。
舞台用なので登場人物が小説よりもわかりやすく丁度いい人数の為、読者が推理する楽しみも味わえる。舞台装置や俳優の動き方はイメージ出来なかったが、舞台で見たら面白そうだと興味が生まれた。
若い夫婦モリーとジャイルズがロッジをオープンし、そこに宿泊に来る数名。何かしら一癖も二癖もありそうな面々。そして時折聞こえるラジオでは、近隣で起きた殺人事件のニュースが流されており、犯人は捕まっていない。
ロッジのオープン日は豪雪に見舞われ、予約できた人々も、トラブルにて偶々やってきた人も閉じ込められてしまう。
そんな折、モリーの元に警察から連絡があり、緊急の用件でロッジにやって来るという。
刑事がやって来て近隣の殺人事件とロッジの関係性、過去に起きたとある事件の顛末を語りながら殺人事件が起きない様に注意喚起をしていくが・・・。
何度もいうが、まるでお手本の様な完成度であり、雪の中の舞台効果がよく発揮されている。
舞台としてロングランされる理由もわかるし、読んでも面白い。ポアロの様だと形容されるバラビチーニのキャラクターを置いた事である意味読者はミスリードされる(笑)。いずれにせよ、「今作の様な」構成のトリックもやはりクリスティが書いていたのかと脱帽だ。本当に彼女は全てのミステリのトリックを生み出したのでは。と疑ってしまう。