イベント会場で発生した事件… 誰が、何故、どうやった?一連の推理が楽しめるミステリ #エフェクトラ
■あらすじ
名脇役者である忍神健一は、役者生活40周年の記念イベントを控えていた。イベント会場である神社では、多くの役者仲間が集まって開催の準備をしている。騒々しく準備が進められる中、鳥居に卒塔婆が
...続きを読む括り付けられるなど奇妙な事件が発生する。
そして雪が降り積もった翌日、足跡のないバンガローで、ひとつの死体が見つかるのだった。
■きっと読みたくなるレビュー
良い推理小説ですね、めっちゃ丁寧な本格ミステリーです。
誰が犯人か、不可能犯罪をどう実現したか、動機はなんだったか、といった基本的な謎解きがしっかりと楽しめる。しかも小さな謎や過去の出来事まで、しっかり論理立てて説明してくれてるんですよ。充実したなるほど感。もちろんそのための手がかりも分かりやすく書かれてますので、読者も安心して推理にチャレンジできます。
特におすすめなのが推理パートなんですが、往年の古典ミステリの解決編を思い出させる推理が素晴らしさ。入り組んだ連続殺人の犯人当てから、不可能犯罪の解明、そして動機までのロジック展開は一級品です。
特に動機は多くの情報が出されていたのに、繋がりがさっぱりわかりませんでした…一連の事件をひとつの線で結びつけた真相には、ほんと驚かされましたね。
また登場人物たちについては、キャラや会話がやたらユルユルの割に、実は背景や関係性がぶ厚い。会話もサクサク読めてしまうんですが、物語が進んでいくと、粘りのある人間ドラマを感じることができます。
そしてこの紅門にとっての最厄な事件については… 私ならもう立ち直れません。
■ぜっさん推しポイント
世の中、人工的なものが増えてくると、人間の手による創造や芸術が減少しちゃいますよね。本作の主人公である忍神健一は、死体役で有名なバイプレイヤー。なんでこんなヘンテコな役柄を設定したのかよくわかりませんでしたが、本作「エフェクトラ」を読み終えてみると、なんとなく理解できた気がします。
お芝居も小説も人の手で作られることによって、血の通った作品ができるのではないかと思いました。