歴史上の人物や偉人・有名人などへの変装したセルフ・ポートレイト作品を一貫して発表し続ける現代芸術家の著者が、自身がこだわり続ける”自画像”とは何かを巡って記された論考。新書でありながら、何と600ページを超える大作。
その多くは、彼が惹かれる”自画像”にまつわるアート界の大家を巡るものである。カラ
...続きを読むバッジョにはじまり、ベラスケス、レンブラント、フェルメール、ゴッホ、フリーダ・カーロ、そしてアンディ・ウォーホル。各作家にとっての”自画像”の意味合いや、作品のからくりなどが緻密に分析されており、”自画像”というテーマがここまで奥深いものだとは、という新鮮な感動を覚えた。
読みえると、正直”自撮り”とは何か、というのはわかるようでわからなくなっている自分に気づくのだが、それでもこのキーワードからこれだけの作家たちの作品を分析し、その全てが驚きに満ちている、というのはとんでもない力作だと思い、充実した読後感に溢れている。