いつかのNNNドキュメントで放送された「高校中退」に衝撃を受け、そのことをふと思い出しこの本に出逢いました。
第一部(第1章~3章)には非常に多くの方の話がでてきます。
中退した当事者はもちろん、その家族やかつて教えていた教師の話。
「貧困」にクローズアップし、未就学児の家庭や保育士からも数多の話を
...続きを読む引きだされています。
読んでいて、実際のこととは思えないような、思いたくないようなエピソードが非常に多いです。
希望を見出せる糸口がわからない、暗澹とした気持ちになりました。
この本が出版された翌年に高校無償化法は施行され、その結果、経済的理由による中退者は減少したという調査結果もあります。
とりあえず「金銭面の不安はなくなった」とは言えますが、第一部でのインタビュー話にみられるように、幼少時の生育環境も経済面と同等かそれ以上に非常に重要だと思っています。
幼少期に、扶養者の貧困によって教育の機会や学ぶきっかけが周囲の子どもたちよりも奪われてしまうということがなくなってほしい。
国家や自治体の予算もマンパワーも限られるなかで難しすぎる課題かもしれませんが、この本を読み終えた今はただそれを願うばかりです。