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毎年十万人近い高校生が中退している。彼らの多くは貧しい家庭に育ち、まともに勉強する機会など与えられず底辺校に入学し、やめていく。アルバイトすらできず貧困状態へと落ちていく。いま、貧しい家庭からさらなる貧困が再生産されているのだ。「高校中退」を語らずして貧困問題を語ることはできない。
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Posted by ブクログ
貧困と底学力。相関はあると思ってはいましたが、実際のデータやレポートをみると想像を絶していました。衝撃です。 最初、「この日本で、掛け算の出来ない高校生って・・・。」と、思っていましたが、「学ぶべき意欲」を一切踏みにじられて育てられた子どもに、すべての責任を押し付けていいのか? そして、その負の...続きを読む連鎖が続いていくのです。実際の高校中退者は8%を越えているという現実。もう「貧乏人の子沢山」とか「やる気の問題」だと言ってられません。 この国のあり方を本当に考えなおさないといけないと感じました。 バラマキだと感じていた高校無料化には、こういう側面もあったんですねぇ。民主党のやり方には、いまでも反対ではあるんですが・・・。 今、すべての日本人が読み、本当に議論しないといけない本ではないでしょうか。
この豊かな国で何故こんなことが起こっているのか。こういう情報は本でしか知ることができない(=身近に例がない)という事実が社会の階層断絶を物語っている。 確かに親から相続されるものは単に金銭だけではない。ウチは子供の頃ものすごく貧乏で両親ともに中卒だったが、幸いにも努力は報いられること、希望を持つ...続きを読むことの大切さ、高等教育進学の動機づけなどを母親から与えられた。おかげで(借金とバイト漬けで苦学はしたものの)大学院まで修了し、現在は貧乏を脱出しているが、今の生活は決して自分の努力によるものだけではないことを改めて感謝した。母親は地区トップの高校に行けるだけの成績だったが、経済的な制約で進学を断念せざるを得なかった。代々貧乏な親(祖父母)では無理をして進学させる意義は理解できないだろう。親族にも誰一人として高卒はいない。きっと子供にだけは同じ思いをさせまいとする母親の執念だったのだろうと思う。 本書に書かれている状況は決して社会の無関心とか政治の無作為のせいではないと思う。ある特定の支配層にとって都合の良い社会なのだ。底辺層がいなければ搾取する対象が存在せず、安価な労働力を確保できない。この国は牛丼屋やコンビニで昼夜を問わず数万/月の給料で働いてくれる人材を必要としている。そういう人材には三角関数や微積分を教育する必要なんてさらさらない。この学力というモノサシを用いることでそういう境遇に陥ったのは自分の努力が足りなかったと当の本人にも納得させることができる。なんと素晴らしいシステムだろう! 日本なんて所詮その程度の国。民主主義を自ら勝ち取った歴史を持つ欧米の国々とは根本から異なる。一億総中流などと浮かれていたのは、戦後復興のごくわずかな成長期だけだ。
今回の本はドキュメント 僕は今週から学習ボランティアに参加させていただいてます。 「経済格差」を「教育格差」にしない というライフワークに向けてようやく1歩目を踏み出したところです。 いろいろと本を読んで知る中で一番感じるのは「親の格差」です。 本書では経済的問題のみならず「文化資源のなさ」「心...続きを読む理的孤立」が大きな問題としてあげられています。 いわゆる昔は経済的には困窮していても文化的、精神的に高尚な家庭はたくさんありました。 僕の友人でも奨学金を受けながら大成した子もたくさんいます。 しかし今は経済格差が全ての格差の根本になりつつあります。 本書に「親の期待格差」という言葉があります。 親自身がすでにいろいろや意味での教育を受けていないことで自分にできないことは子供にもできないと考えてしまう。 そして刹那的に「今が良ければいい」「自分さえ良ければいい」となってしまいます。 親が子供に期待しないとすればどんな社会になるんやろうと思います。 今般の虐待事件をひくまでもなく子供と男を比べて男を取るという選択は本書の中にも枚挙に暇がないところです。 期待されないだけでなく「握っていた手を離される」絶望感は如何許りかと思います。 僕自身これから実践していく中でいろんな子供達に出会うことと思います。 その時に頼れる大人になりたいなぁと思います。
いつかのNNNドキュメントで放送された「高校中退」に衝撃を受け、そのことをふと思い出しこの本に出逢いました。 第一部(第1章~3章)には非常に多くの方の話がでてきます。 中退した当事者はもちろん、その家族やかつて教えていた教師の話。 「貧困」にクローズアップし、未就学児の家庭や保育士からも数多の話を...続きを読む引きだされています。 読んでいて、実際のこととは思えないような、思いたくないようなエピソードが非常に多いです。 希望を見出せる糸口がわからない、暗澹とした気持ちになりました。 この本が出版された翌年に高校無償化法は施行され、その結果、経済的理由による中退者は減少したという調査結果もあります。 とりあえず「金銭面の不安はなくなった」とは言えますが、第一部でのインタビュー話にみられるように、幼少時の生育環境も経済面と同等かそれ以上に非常に重要だと思っています。 幼少期に、扶養者の貧困によって教育の機会や学ぶきっかけが周囲の子どもたちよりも奪われてしまうということがなくなってほしい。 国家や自治体の予算もマンパワーも限られるなかで難しすぎる課題かもしれませんが、この本を読み終えた今はただそれを願うばかりです。
所謂「最底辺」と位置づけされる学力下位の公立高校に通う高校生を中心に、高校中退の現状を述べ、その背景には経済格差による貧困問題があることを明らかにしたドキュメント。 全体としては2部構成で、前半は高校中退の現実について、直接中退者に取材した結果を列挙する。後半は高校中退の背景には何があるのか、さらに...続きを読むその打開策を提示する。 前半が全頁の3/4を占めており、中退の現実を読んでいくと結構凹む。思った以上に酷い。 読後感としては、高校よりも小中学校の現状がどんなものか気になった。高校中退者は様々な家庭の事情により、小中学校時分から学習の機会をはく奪されてきているからだ。 そのような小中学時代を送ってきた生徒がほとんど無試験で最底辺と認識されている高校に入学していることだ。入試の現状はどうなっているのだろう。 今の日本社会は再チャレンジを容易に許さない傾向にある、という著者の指摘には同感。落伍者も許さない傾向にあるだろう。 中学校までに学習機会・意欲を奪われ、高校に入るだけの知識が育成されていないのであれば、高校には入学させず、そこまで知識を得てから改めて受けさせるくらい、社会の懐深さというのを確立させるべきではないだろうか。 そのためには高校義務化よりも、夜間中学等の充実が先行されるべきではないだろうか。
高校を中退してしまう若者たちの背景には貧困や虐待があるということを説いている本。いまでは考えれば当然のような背景だけど、ちょっと無意識のままだと遠い過去に植えつけられた勝手な非行少年少女だから高校中退するんでしょ、みたいに思ってしまう自分の浅はかさを反省させられる。 この本が出たのは2009年のこと...続きを読む。当時としては、高校中退の背景に貧困があるという論は新しい……といっては何だな。本当はようやく焦点が当たったということだと思う。本当にこの本を読んでいると過酷な状況の子ども・若者・親たちがいる。まさに貧困の連鎖、虐待の連鎖。これをみんなその子どもたち、声を上げることを知らない・できない子どもたちの自己責任ということにして見ないふりをしていたんだな。 著者は長らく高校教員をしてきた人だけど、学校の先生たちも大変だと思う。教育の場だけで何とかできる問題じゃないもの。書中で紹介されるエピソードのなかにはひどい学校も先生もいるけれど、無力感に苛まれる教員もいることだろう。「教育は、セーフティネットという事後的な救済ではなく、若者たちが自律的な生き方ができるように支援するという意味での社会保障機能として考えるべきだろう。」(p.185)というのは一理あり。一部の見えない場所に囲い込んだままにせず、本当に社会全体で考え行動していくべき問題だよね。
高校中退者の実態、そしてその原因の考察。高校中退という現象がいかに構造的な問題であるかが分かる。恐らくどんなに熱意をもった教師であろうとも、個々人の生徒を救うことはできてもこの問題の根本的な解決など不可能だ。そう思えるほどに高校中退は家庭環境や貧困の問題との相関性が高い。 無論、いわゆる底辺校に対す...続きを読むる策が必要なのは言うまでもないが、それがいわゆるエリート教育が必要でないという結論に結びつけるべきではないだろう。問題はすべての高校の問題を十把一絡げに論じようとするところにあり、こうした高校間の格差が広がっている以上、類似した高校によって異なる対応策を論じることが求められているのだと思う。例えば学力テストは上位校において学力を把握するために必要かもしれないが、教育困難校においてはむしろ読み書き計算といった徹底的な基礎能力の向上にあてるべきだ。 本書に書いてある具体的事例はどれも事実なんだろう。が、事実としてはなかなか受け入れがたいほど私の想像を遥かに越えていたというのが率直な感想。私とて高級住宅地で育ったわけではないのだが、それだけ社会が分断されているということなのか。私のように平凡な高校生活を送ってきたと思えるような人も、本書により高校生の別の側面を見てみる必要があるだろう。なぜなら教育は社会全体に関する問題であるからだ。
学力のなさの裏側にこんな悲惨な貧困の実態があったとは知らなかった。現状の教育システムじゃとても彼らを掬いとってやることはできない。また、高度知識社会に成るにつれて彼らのような人間は、ベーシックインカム導入などの、思い切った社会システム改革を行わない限り居場所がなくなってしまうだろう。
2008年度まで埼玉県立上尾高校で勤務されていた元教師の研究をルポルタージュ風に書き上げた1冊。 4時間ほどで読めてしまう上に、想像以上の世界が紹介されているのでオススメ。
高校を卒業している事が当たり前となっている今日の日本において、高校を中退してしまうという事、せざるを得ない環境とはどのようなものなのかを説明している本。 底辺校とされる学校に通う生徒の家庭状況(年収200万程度の家庭が1/3。子供のバイト代で生計を立てている家もあり、制服・体操着を買えないこと...続きを読むもある)、学力(足し算・掛け算が出来ない、中学時代に定期試験を受けていない為「成績が無い」、アルファベットを書けない)、勉強に対する認識(「自分の仕事は勉強でなくアルバイト」と答える)の低さに驚かされるが、何より支えてあげるはずの教師もあまりの指導することの多さと、受け止めようとしない生徒・両親に諦めを感じて、「生徒を切ろうとする」ようになってしまっているのだという。 筆者は、実際に高校を中退した人を対象にインタビューを行っている。両親も高校中退、片親に愛人が出来たので家にいられず夜を彷徨う、授業料を支払えなくなったので・・・、中退したら職が見つからなくなった、正社員のはずなのに日給・時給制、家族全員中退、男遊びで妊娠してしまった、「高校も義務化して欲しい」、親からのDV、(中学時代の成績が良くないために通っている)高校が家から遠すぎるなど、辛い実情を語っている。 正直、「考えが甘すぎるのではないか」と思えるような主張のため同情出来ないものもあったが、これまで育ってきた環境や「安易な考えで中退するとどうなるのか」を共に真剣に考えてくれる(親を含む)大人が周りにいなかったという事による悲劇という見方も出来なくはない。中退後は何をしているのかというと、日雇いの大工、内装、警備、水商売という職に就く事がほとんどで、社会から疎外されて生活してきたこともあり、社会のために働こうとはしない。筆者が言うように「自己責任」のひと言で片付けるのは、今後の日本を考えていく上で有益なのだろうか。 保育所や障害児通園施設においても貧困の影がちらついている。男に依存する母親、歯磨きを教わっておらず歯がとけてしまった子、食事はスティックパンやカップラーメン、おむつのはかせ方を知らない、親の性交渉を見ているのか、Hごっこをする子もいるという。 根底にあるのは家庭の貧困であり、両親の学習への感心の無さ、生活リズムの崩れ、きちんとした親子関係がとれていないといった事で、子供の考え方が悪い方向に固まってしまうのだという。 それにしても、親の最終学歴、職業、収入、教育に対する考え方一つで、子供の住む世界が凄まじく変わってしまう事実には驚かされる。負のスパイラルから抜け出せるよう国が取り計らったところで、一体どれだけの家庭がその情報を手に入れ、かつ有効的に活用していけるのだろうか。 筆者は高校を中退してしまう大きな要因として、学校生活・学業不適応(学力や意欲の無さから学校生活に適応出来ない)、学業不振(小学校レベルでつまづいている事があり、ついていけない)、進路変更(厳しい学校において学びや仲間づくりを諦める)の3つを挙げており、彼ら自身も安易な気持ちで辞めてしまった後で、「バイトが見つからない、次の仕事に考慮されない」と嘆いている。同世代の様々な家庭環境にある子供とつながることが出来ないという点も、問題として指摘されている。 それにしても、文科省の高校中退率の算出方法が筆者の算出方法と比べると、3%も数値が変わってしまう事には驚かされた。「算出方法は目的によって多種あってもいい」と筆者も述べているが、文科省の目的は一体なんだったのだろうか。「制服や体操着を買えなくて恥ずかしいから学校に行けない(買った後は顔つきが明るくなった)」、という子の存在や「うちの生徒にとって修学旅行で飛行機に乗るという経験は生姜で最後になると思います。これからもいっそう貧困の中で暮らしていくでしょう」と語らざるをえない教師はあまりに悲しい。 「貧しいとは何も出来ないこと。何も選べないんですよ」という生活保護を受けて三人の子を養う親の叫びは、届く日がくるのだろうか。 自分用キーワード エドモンド・バーク「教育は国家にとって安くつく防衛手段」 9、10歳の壁 就学援助制度 アマルティア・セン「(基礎教育が)人間の安全を脅かすほとんどの危険に対し強力な予防効果がある。世界の本質を、その多様性と豊かさを認識することであり、その思考及び友情の大切さを理解すること」
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青砥恭
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