作品一覧
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
明治探偵冒険小説。
【幽霊塔】
英国貴族の丸部道九郎は、叔父(跡継ぎ養父)の丸部朝夫の命により、倫敦から離れた田舎町の時計塔屋敷を買い取る。
丸部一族は、英国王ランカスター家に繋がる血筋だが、最後の国王顕理(へんりい)六世の代に、当時の丸部主人が何やら大いなる秘密を隠すためにこの時計塔を建てたらしい。
この「幽霊塔」には曰くがある。当時の丸部主人は自ら秘密を隠すために作った迷路から出られず死んだ。その後一族の本流が絶え、この塔は当時の使用人のお紺婆さんが買い取った。だが8年前、そのお紺が殺された。逮捕されたのは、お紺の養女の輪田夏子という女中。夏子は無罪を訴えていたが4年前に刑務所で病死した -
Posted by ブクログ
私は「快楽亭ブラック」といったら立川談志や桂三枝の弟子出身の落語家さんを連想してしまうのですが(名前だけで、演目を聞いたことはないが)、こちらは初代ご本家の「快楽亭ブラック」です。現代の落語家さんは「二代目」らしい。
漫画『美味しんぼ』でも、来日して落語家になりこの名前を襲名したアメリカ人キャラクターが出てきますね。
初代快楽亭ブラックはイギリスの名門軍人一家の出身で、一家で来日したのは6歳の時。多芸多才で日本で寄席に出て「英国人落語家快楽亭ブラック」を称する。一時期はかなりの人気だったが、名門の実家からは芸人になったことを猛反発され、芸も飽きられ、晩年はかなり不遇だったようだ。
こちらに -
Posted by ブクログ
【銀山王】
『紅海の波と印度洋の波とが合する処に、亜典(アデン)と云う綺麗な港がある。洋々たる亜典湾の波を隔てて遥に阿弗利加(アフリカ)大陸に対し、ここは橄欖(かんらん)の花咲く亜剌比亜(アラビア)の南浜(なんぴん)ではあるが…』
…というなかなか豪奢な描写で始まる一品。
この美しいアデンの港町で繰り広げられる三角関係。
イギリス人令嬢の浪島楓(なみしま かえで)嬢と婚約同然にあった日本人貴族の羽衣(はごろも)男爵を銀山王の一人娘有州緑(ありす みどり)姫が奪い取っていた。
絶望の底にあった楓嬢は、全財産を叔父の黒蛸(くろだこ)紳士に譲り渡して一人町を出る。
そんな楓嬢の貢献を申し出たのは、