作品一覧 2023/05/25更新 工場日記 試し読み フォロー シモーヌ・ヴェイユ アンソロジー 試し読み フォロー 重力と恩寵 試し読み フォロー 重力と恩寵 試し読み フォロー 根をもつこと 試し読み フォロー ヴェーユの哲学講義 試し読み フォロー 1~6件目 / 6件<<<1・・・・・・・・・>>> シモーヌ・ヴェイユの作品をすべて見る
ユーザーレビュー 根をもつこと 下 シモーヌ・ヴェイユ / 冨原眞弓 下巻は第3部「根づき」の方法についての記述となります。上巻が「根こぎ」の悲惨な状態についての記述であったのに対して、下巻はいかにして人間が(特にフランス人を念頭においていますが)ふたたび根を張ることができるか、そして魂の糧を得ることができるか、についてのヴェイユの提案・主張が書かれていることになりま...続きを読むす。 主張は正直難解に感じましたし、一言で説明せよと言われると非常に難しいのですが、ポイントとしては人間の生命維持に直結する労働に焦点をあてていることでしょう。またヴェイユの主張で面白いと感じたのは、思考は万物を動かしている必然性すらも支配できる、というコメントです。つまり世の中で起こっていることは思考(感覚含む)が現前化した事象であり、私のつたない理解ですが、何事も考え方次第であって、全ての事象が愛に満ちたものだと考えることで、仏教的に言えば彼岸の智慧と此岸の知恵が融合されるような感覚を述べているのかと思いました(一言で言おうとするとどうしても稚拙な表現になってしまいますが・・・)。 本書を読んでハンナ・アーレントの「人間の条件」を思いだしました。アーレントは、望ましい人間像として、思考停止に陥る労働中心ではなく、政治や言論活動などの「活動」領域をもっと拡大すべきだと考えているのに対して、ヴェイユは、労働に思考を宿すことで霊的な根付きを生み出すべきだと主張します。私は個人的に両方正しい気はしましたが、もしかすると「根こぎ」にあっている人間に対する処方箋としてはヴェイユの方がより正しいのかもしれません(※根付きの状態になったらアーレントの処方箋のように活動領域を増やす)。本書は主に、ドイツに祖国を占領されたフランス人の立場から「根こぎ」の対策を論じているわけですが、「社会的、地理的、霊的な根こぎ」は現代社会においてもあちこちで起こっている問題だと思いますので、ヴェイユの主張は傾聴に値すると感じました。 Posted by ブクログ 根をもつこと 上 シモーヌ・ヴェイユ / 冨原眞弓 フランスの哲学者で、第二次世界大戦時に亡命先の英国で34歳という若さでなくなったヴェイユの代表作の一つです。上巻では人間の魂に必要なものは何かをリストアップし、そのなかでも特に著者が重要と考えている「根を持つこと」についての論が始まります。植物にとって根が養分を吸収する重要な役割を果たしているように...続きを読む、人間もなんらかの根を持たなければ魂が死んでしまう。そして根から無理やり引き剥がされた状態、つまり「根こぎ」の恐ろしい影響について上巻では詳しく論じていますが、その中心的話題は祖国の喪失です。フランスはナチスドイツに占領されフランス人は「根こぎ」の状態になりますが、ヴェイユはいかにしてフランス人の魂を回復させるべきかについて最後に述べています。ヴェイユの主張は、国の過去の栄光を愛国心の基盤にしてはならず、むしろ祖国に対する憐れみの心こそが祖国愛の基盤になるべきだということでした。全編通じてなのですが、ヴェイユの主張は人間の心の機微を深く理解できないと、かなり難解かもしれないと感じます。ただ本書のテーマは遠い過去の遠い国の話ではなく、たとえば2011年東日本大震災時の原発事故で、故郷から無理やり引き剥がされて「根こぎ」になってしまった人々をも連想させました。「根こぎ」という病は戦争中の国だけでなく、現代日本にも存在しているという認識のもと、彼女の分析や処方箋は非常に重要な示唆を提供してくれるのではないかと感じました。 Posted by ブクログ 重力と恩寵 シモーヌ・ヴェイユ / 田辺保 2023/3/5(3回目) 「苦しみがなくなるようにとか、苦しみが少なくなるようにとか求めないこと。そうではなく、苦しみ によって損なわれないようにと求めること」辛くて苦しんでいたときに恩師から言われた言葉 「どうか、わたしは消えて行けますように。今わたしに見られているものが、もはやわたしに見られ ...続きを読むるものではなくなることによって、完全に美しくなれますように」この世には究極的な言葉、といったものが存在すると思うが、これはその一つ 本当に眩しくて透きとおっていて信じられないほど美しくて悲しい 「知性は(中略)鋭敏で、尖鋭で、正確で、厳密で、酷薄でなくてはならない」恩師によく似合う言葉 「泣いてはならない、慰めを受けたりしないように」いつもこの言葉を思い出して生きていきたい Posted by ブクログ 重力と恩寵 シモーヌ・ヴェイユ / 冨原眞弓 マア1割くらいしか理解できてないかもしれないけど… ・卑俗な動機は簡単にエネルギーになる ・自分の中の獣を馴致すること(不可能なものに達するには可能なことを積み重ね遣り遂げる必要がある) ・常に思考をやめない。思考の居場所のないところには正義も思慮もないから。(見えないものはない、というかんがえ...続きを読むをやめる) 結構自分自身、己がつよいみたいなところがあって、いろんな自分の周りのことに執着したり、日々のことに意味あんの?とかおもったりしてサボったり、ということがあるけど、そういうのって傲慢〜〜〜ってことなのかもしれない。どうしても、私は世界のほんの一部(ぜんぶ)にすぎず、ダルマ/必然に隷従して生きるべきなのかもしれん…(行為の結実いかんに関わらず) 「こんな問題を、こんなふうにして、こんなところまで徹底的に突き詰めて考える人がいるのだ」 Posted by ブクログ 工場日記 シモーヌ・ヴェイユ / 田辺保 とてつもない本だった。シモーヌ・ヴェイユという人物はとても偉大な女性だ。 この本の最初200数ページほどは、素朴な日記、あるいは日誌のような形式で書かれている。淡々と書かれた中に、職場の人間関係や、思ったことが散りばめられている。そして、最後の数十ページは、彼女が宛てた手紙が載せられている。わたしは...続きを読むこの手紙の部分にもっとも息を呑んだ。文章から受ける印象は、日誌の文体と手紙の文体ではかなり違うように思う。やさしさの度合いというか、温もりというか。日誌における言葉と、手紙における言葉はやはり何かが違う。何が原因かは、一考の価値あり。 Posted by ブクログ シモーヌ・ヴェイユのレビューをもっと見る