ユーザーレビュー 大衆の反逆 オルテガ・イ・ガセット / 神吉敬三 1930年刊行。某経済誌で今読むべき古典と紹介されていた。 たしかに、名言・格言だらけ。例えば、 「人間を最も根本的に分類すれば、次の二つのタイプに分けることができる。第一は、自らに多くを求め、進んで困難と義務を負わんとする人々であり、第二は、自分に対してなんらの特別な要求を持たない人々、生きると...続きを読むいうことが自分の既存の姿の瞬間的連続以外のなにものでもなく、したがって自己完成への努力をしない人々、つまり風のままに漂う浮標のような人々である(p18)」 「今日の特徴は、凡俗な人間が、おのれが凡俗であることを知りながら、凡俗であることの権利を敢然と主張し、いたるところでそれを貫徹しようとするところにある(p22)」 「大衆の反逆とは、人類の根本的な道徳的退廃に他ならない(p179)」 刊行から約100年。デジタル革命を経て「大衆の反逆」は、より深刻さを増してるようだ。平凡に居直る「浮標」にならぬよう生きていこうか。 Posted by ブクログ 大衆の反逆 オルテガ・イ・ガセット / 神吉敬三 それ以前の人々にとって生とは重苦しい運命だった。しかし、現代の「大衆」=「平均人」は、彼を取り巻く世界に甘やかされている。経済的、肉体的、社会的安楽さをあたりまえのものと思っている。 近年のヨーロッパに蔓延する無力感は、「潜在能力の大きさ」と「政治機構の大きさ」とのアンバランスから生まれる。 「...続きを読む国家というものは、人間に対して贈り物のように与えられる一つの社会形態ではなく、人間が額に汗して作り上げてゆかねばらないもの」 国家を成り立たせる要因は、血縁でも、言語でも、過去でもなく、「われわれが一緒になって明日やろうとすること」 「国家は一つの事物ではなく、運動である」 「ヨーロッパ大陸の諸民族の集団による一大国民国家を建設する決断のみが、ヨーロッパの脈動をふたたび強化しうるであろう」 Posted by ブクログ 大衆の反逆 オルテガ・イ・ガセット / 神吉敬三 人生で最も影響を受けたトップ5に入る本。 100年前に書かれた内容は今でも色褪せない。「精神の貴族」はよいことばですね。 Posted by ブクログ 大衆の反逆 オルテガ・イ・ガセット / 神吉敬三 ポピュリズムが影を覆う今だからこそ読むべき本だと思います。これだけ上から目線で書かれた本も珍しい。今だったら『炎上』必死の内容です。 Posted by ブクログ 大衆の反逆 オルテガ・イ・ガセット / 神吉敬三 学生の頃に探すも見つけられなかった本が筑摩の文庫にあった。18世紀のルソー「社会契約論」19世紀のマルクス「資本論」、20世紀はこれと言われた社会論のバイブル。皇帝、覇王など選ばれた人のための国家と違い、近代の国民国家は、ビジョンも持たず自ら責任も取らない「慢心しきったお坊ちゃん」たる大衆が支配者に...続きを読むなった。大衆の集まりによる自由民主主義の限界。今後どうあるべきか。90年前オルテガはファシズム、ナショナリズム、スターリン的マルクシズムの限界を見抜き、ヨーロッパの現状を憂いて書いたが、今やアメリカも日本も、世界がこの状況にある。多くの学者や思想家が影響を受け、論じてきたが誰も答えを見つけられていないまだるっこしさ。天才を待つしかないのか!大衆は待つしかできない(TT) Posted by ブクログ 神吉敬三のレビューをもっと見る