作品一覧
-
5.0行列に並んで観る絶景も悪くないが、そこで生活する人々の呼吸を聞き、その土地と対話する姿勢に感動を覚えた。——又吉直樹 話題作『ドライブイン探訪』の著者が、各地の「観光地」を巡り、日本の近代の歩んできた足跡をたどる傑作ノンフィクション・エッセイ。旅とは、生活とは、歴史とは、世界とは、生きることとは。 絶景のなかに、何を見るか。 わたしたちの目は、絶景を見慣れている。どんなに美しい景色でも、1時間、2時間と見惚れることは稀で、しばらく眺めたあと、写真を撮って立ち去る場合がほとんどだ。わたしたちは、ちゃんと景色を見つめられているだろうか? 絶景を前に立ち止まり、目を凝らすことで、見えてくる姿がある。じっと耳を澄ますことで、聴こえてくる声がある。そんな偶然の出会いに、「ささやかな未知」が詰まっている。ここではないどこかに、わたしとは違う人生を生きている誰かがいる。そんな誰かを想像することは、世界に触れようとすることであり、それこそが「観光」なのではないかと、僕は思う。(「あとがき」より)
-
4.71巻1,672円 (税込)離島と沖縄。埋もれていた近現代史が見えてくる4泊5日の旅の記録。 沖縄のやんばるにある「クロワッサン・アイランド」と呼ばれる小さな島・水納島。開拓、戦争、産業、海洋博、そして現在……。再訪を重ねてきた気鋭のライターが綴る、エッセイ・ノンフィクション。 目次 1 夕日 2 庭先 3 井戸 4 桟橋 5 校舎 6 灯台
-
4.41巻1,870円 (税込)道路沿いにひっそりと佇むドライブイン。クルマ社会、外食産業の激変の荒波を受けながら、ドライバーたちに食事を提供し続けた人々の人生と思いに迫る傑作ルポ。
ユーザーレビュー
-
Posted by ブクログ
「観光」とは「光を観る」と書く。光を発するのは土地だけではない。そこで生活する住人が放つ光もある。著者は、そこに焦点を当て、観光地に暮らす人々の体験や歴史を聞き出す。
だが、土地の人との対話はタイトルにある「ぶらり」がイメージするような気楽な世間話で終わるものではない。著者の旅には事前の綿密な調査があり、巻末にある多くの参考文献がそれを物語っている。それをもとに現地に赴き、目を凝らし、耳を澄ます。そこから掘り起こされる史実は表層的でなく奥が深い。 この本で紹介されている訪問地は10箇所。路面電車が走り、万葉集にも登場する道後温泉、昔ながらの島時間が流れる竹富島、流氷と人情の羅臼、潜伏キリシ -
Posted by ブクログ
観光客は、何を目指して旅に出るのか。
観光客は、その観光地でどんな光を観るのか。
では、その地に住む人々、商売する人々の想いは如何に?
10の旅に浮かび上がるのは、観光の歴史とその地の変遷。
そして暮らす人々の生き様をも辿る、ノンフィクション。
・プロローグ
道後温泉 竹富島 摩耶山 猪苗代 羅臼 横手
しまなみ海道 五島列島 広島 登別・洞爺
・あとがき 参考資料一覧有り。
旅先でその地に住まう人々と出会い、話を聞く。
現れるのは、その地の歴史と住まう人々の想い。
日本の国際観光の歴史と国内観光の変遷やリゾート開発の明暗、
交通手段の変化、戦後復興や高度成長、バブル期とその崩壊、
コロナ禍 -
Posted by ブクログ
昭和的なノスタルジックな香りがする
ドライブイン。
そういえば、最近はコンビニや道の駅など
の陰に隠れて、あまり見かけることもなく
なりました。
やはり増え続ける道の駅とは対照的に潰れる店
が多く今や希少な車で行くスポットとなって
います。
単にそんな場所を訪れて「なつかしい」
「そういえばそんなのあったよね」とレポート
するだけではありません。
頑張って経営する店主をしっかりと取材して、
その人の人生そのものを描き出します。
「人の人生」とは、かくも多様であり、
皆頑張って生き抜いているのだなと、
勇気を与えてくれる一冊となっています。