作品一覧

  • 火星からの来訪者
    3.7
    1巻2,851円 (税込)
    第二次世界大戦でドイツが降伏した頃、アメリカのノースダコタ州とサウスダコタ州の境に隕石らしきものが落下する。しかしそれはただの隕石ではなく、火星から飛来したロケットであった。その中に乗り込んでいた奇妙な「火星からの人」がニューヨーク郊外の研究所に運び込まれ、科学者や技師などからなるチームが極秘のうちに、この火星人とのコミュニケーションを試みるが……『金星応答なし』に5年ほど先立つ、レムの本当のデビュー作とも言うべき本格的SF中篇『火星からの来訪者』、若き医師ステファン・チシニェツキは、町を歩いているときにユダヤ人と取り違えられて捕まり、他の無数のユダヤ人とともに貨車に押し込められ収容所に送られてしまう。ユダヤ人移送の決定的瞬間を描いた「ラインハルト作戦」、広島への原爆投下を主題にした、世界でもっとも早い文学作品の一つであり、SF的想像力を駆使して爆発の光景が創り出された「ヒロシマの男」など、レムがまだ20歳代だった1940年代から1950年にかけて書かれた、いずれも本邦初訳となる初期作品を収録。《星をちりばめた闇に茫然と言葉を失う者は/とても孤独で詩人に近い。》

    試し読み

    フォロー
  • マゼラン雲
    4.0
    1巻2,851円 (税込)
    《私は、二百二十七名の一員として、太陽系の外を目指し、地球を発った。計画した目的を果たし、旅が始まって十年目の今、我々はこれから帰還の途に就く》32世紀。高度な科学技術的発展を成し遂げ、内太陽系をも生活圏とした人類は、その能力と野心を一層満たすために、ついに史上初の太陽系外有人探査計画に着手、地球に最も近い恒星であるケンタウルス座α星へ向かう決定を下した。そんな時代に、グリーンランドの小都市で医師の家庭に生まれた少年は、成長期の体験から宇宙航海士になることを決意、この有人探査計画を聞きつけると、遠征隊の審査試験に合格するために研鑽を重ね、晴れて巨大探査船ゲア号に搭乗する選りすぐりの遠征隊員の一員となる。そして迎えた出発の日、宇宙空間をゆっくりと動き出したゲア号は、次第に速度を増し、遥かなる未知の空間へと踏み出していった。暗黒の真空を突き進む旅路の果てにはいったい何が待ち受けているのであろうか?――レムが晩年まで、ポーランド国内での再版と外国語への新たな翻訳を拒み続けた幻の長篇がついに邦訳なる。映画『イカリエ-XB1』原作。

    試し読み

    フォロー
  • 地球の平和
    3.0
    1巻2,534円 (税込)
    自動機械の自立性向上に特化された近未来の軍事的進歩は、効果的かつ高価になり、その状況を解決する方法として人類は軍備をそっくり月へ移すことを考案、地球非軍事化と月軍事化の計画が承認される。こうして軍拡競争をAI任せにした人類であったが、立入禁止ゾーンとなった月面で兵器の進化がその後どうなっているのか皆目わからない。月の無人軍が地球を攻撃するのでは? 恐怖と混乱に駆られパニックに陥った人類の声を受けて月に送られた偵察機は、月面に潜ってしまったかのように、一台も帰還することがなかったばかりか、何の連絡も映像も送ってこなかった。かくて泰平ヨンに白羽の矢が立ち、月に向けて極秘の偵察に赴くが、例によってとんでもないトラブルに巻き込まれる羽目に……《事の発端から話した方がいいだろう。その発端がどうだったか私は知らない、というのは別の話。なぜなら私は主に右大脳半球で記憶しなくてはならなかったのに、右半球への通路が遮断されていて、考えることができないからだ》レムの最後から二番目の小説にして、〈泰平ヨン〉シリーズ最終話の待望の邦訳。

    試し読み

    フォロー
  • インヴィンシブル
    4.3
    1巻2,323円 (税込)
    《レギスⅢへの着陸完了。サブ=デルタ92型砂漠惑星。われわれは第二手順に則ってエヴァナ大陸の赤道地帯へ上陸する》この通信から40時間後、まったく意味をなさない奇妙な音声を伝えてきたのを最後に消息を絶ったコンドル号を捜索するため、二等巡洋艦インヴィンシブル号は琴座の惑星レギスⅢに降り立った。そこは見わたす限りの広大な大地に生命の気配のない、赤茶けた灰色の空間であった。やがて、偵察のために投入された撮影衛星が人工的な構造物をとらえ、探索隊が写真が示す地点へと向かう。たどり着いたのは、奇怪な形状を有し廃墟と化した《都市》であった。《都市》の内部へと足を踏み入れ、調査を進める探索隊であったが、そこにコンドル号発見の知らせがもたらされる。急ぎ現地に向かった一行が目にしたのは、あたり一面に物と人骨が散乱し、砂漠にめり込んでそそり立つ、変わりはてたコンドル号の姿であった。謎に満ちたこの惑星でいったい何が起こったのか!?――『エデン』『ソラリス』からつらなるファースト・コンタクト三部作の傑作のポーランド語原典からの新訳。

    試し読み

    フォロー
  • 完全な真空
    4.0
    1巻1,375円 (税込)
    「新しい宇宙創造説」「ロビンソン物語」「誤謬としての文化」など、名作『ソラリス』の巨人が文学、SF、文化論、宇宙論を換骨奪胎。パロディやパスティーシュも満載の、知的刺激に満ちた<書評集>。
  • 泰平ヨンの未来学会議〔改訳版〕
    4.3
    1巻1,100円 (税込)
    地球の人口問題解決の討議のため開催される国際未来学会議に出席せんと、コスタリカを訪れた泰平ヨン。ところが、会議の最中にテロ事件が勃発。ヨンたちは、鎮圧のために軍が投下した爆弾の幻覚薬物を吸ってしまう。かくしてヨンは奇妙な未来世界へと紛れ込む……。レムがブラックな笑いでドラッグに満ちた世界を描きだす、異色のユートピアSF。アリ・フォルマン監督により映画化!(映画化名『コングレス未来学会議』6月20日(土)全国公開)
  • ソラリス
    4.2
    1巻1,100円 (税込)
    惑星ソラリス――この静謐なる星は意思を持った海に表面を覆われていた。惑星の謎の解明のため、ステーションに派遣された心理学者ケルヴィンは変わり果てた研究員たちを目にする。彼らにいったい何が? ケルヴィンもまたソラリスの海がもたらす現象に囚われていく……。人間以外の理性との接触は可能か?――知の巨人が世界に問いかけたSF史上に残る名作。レム研究の第一人者によるポーランド語原典からの完全翻訳版
  • ソラリス

    Posted by ブクログ

    すごい。
    ハードSFで全編走るのかと思ったら、想像以上に多層的なスルメ小説だった。
    学術的な科学の知見をフルに使ってSFの「リアリズム」を構築している。
    愛の物語ではあるが、ノスタルジックに埋没していることを本人が自覚してるゆえのヤバさがある。

    0
    2023年11月18日
  • ソラリス

    Posted by ブクログ

    SF文学の偉大な傑作。伝え聞いていたよりはるかに首尾一貫とした話で、コンタクトというテーマを様々な角度から見事に描き出し、安易な解決を決してつけず、何よりその奥行きの深い掘り下げに、完全に圧倒されました。素晴らしい作品と出会えて幸せです。

    0
    2023年10月24日
  • ソラリス

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    人間とは異なる理で生きる存在との意思疎通を可能だと考えることの浅ましさを見せつけられた感覚。最後までソレの特徴はあくまで人間側からの視点に過ぎず、積み上げた研究を無視する様にソレが悠然と存在し続ける絶望感
    最高
    なんとなくメッセージと対極をなす様な感じ

    0
    2023年10月17日
  • ソラリス

    Posted by ブクログ

    ファーストコンタクト三部作『ソラリス』『砂漠の惑星(インヴィンシブル)』『エデン』

    原作を読んだのは中学生の時で細部は覚えていないものの、私の価値観に稲妻の一撃を与えた一作。
    この本のお陰で宗教や不可知論に傾倒していったので間違いなく個人的インパクトファクター。

    緻密に練られた設定、惑星ソラリスの謎、終盤で提示される新たな神と奇蹟。

    人間的な物差しで推し量れない「究極的他者」(ソラリス)とは、人間至上主義に対するアンチテーゼであり、地球上の枠組みを超越した存在である。

    人類(地球)の延長線上における生や死、愛といった人間的概念をこの銀河に当てはめる試みは果たして可能なのだろうか?

    0
    2023年06月07日
  • ソラリス

    Posted by ブクログ

    本作を読む前にタルコフスキーとソダーバーグの映画どっちも観ていて別に特別好きな作品というわけではなかったのだが(というかあまり覚えていない)原作のほうはかなりおもしろかった。タルコフスキーの映画の方は映像は綺麗だったけど全体的にセリフが少なくてケルヴィンらにあまり人間味を感じないような印象があった
    本作で好きな部分はステーション内の人間模様とソラリス学のところで映画版はそこがどちらも削ぎ落とされているから(仕方ないが)そこまで刺さらなかったのだろう。名前を忘れたがヘリコプター運転手のソラリスがでかい子供やら庭を作り出したって話はとても不気味で良かった
    現代のCGかなにかで対象体の映像でもみてみ

    0
    2023年06月04日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!