【感想・ネタバレ】裏世界ピクニック ふたりの怪異探検ファイルのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

購入済み

悪寒がした

描写や台詞がつぼにはまったのか
悪寒が止まらなかった
風邪だったのかもしれない
もっとよみたい

1
2017年04月21日

Posted by ブクログ

きさらぎ駅などインターネット上で語られる怪異が存在する裏世界で出会った空魚と鳥子。互いを共犯者と呼びながらそれぞれの目的のために自ら危険に飛び込む姿は危うい。私達は理解できないものに恐怖を覚えるけれど理解してしまったらもう此方に戻れないのでないかと思う。だから怖かったら逃げなくてはいけないのだ。でも彼女達はまた裏世界に行くのだろう。怖い。けれど少しずつ親密になりそうな関係を捨てられない。

0
2024年04月28日

Posted by ブクログ

えー!面白い!
ラノベは普段読まないけど、これは予想以上のクオリティ。Audibleでよく見かけるから、前々から気にはなっていた。

ホラー、ファンタジー、アクション、百合要素が良い感じに合わさってる。

なんだか最近はアニメといい、ラノベといい、クオリティがどんどん高くなってる気がする。
もう凝ったドラマや小説変わらないのでは?

シリーズもので今の所8巻?まであるようだし、続き読んでみよう!!

0
2023年02月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 ネットロアをテーマに据えた、2021年にアニメ化もしている怪異探検物語である。
 ネット上で流布される都市伝説をネットロアと言うようだが、この小説が採用しているのはど真ん中でそれだ。
 章立てを見れば、わかる人には明らかだろう。

ファイル1 くねくねハンティング
ファイル2 八尺様サバイバル
ァイル3 ステーション・フェブラリー
ファイル4 時間、空間、おっさん

 くねくね、八尺様、きさらぎ駅、時空のおっさん。
 まさに王道のネットロア。オカルト系に詳しくない自分にも耳馴染みがある題材ばかりである。
 これらの題材に、SF的なニュアンスを絡ませて、謎の裏世界を探索するのが本筋の物語である。
 ピクニックと言うには、いささか物騒な内容ではあるけれども。

 うっかり関わってしまった神越空魚と、裏世界で失踪した友人を探す仁科鳥子が主人公である。
 彼女らのガールミーツガールが物語の軸となり、末に二人で幾度も裏世界に足を踏み入れ、怪異を体験していくこととなる。
 それも、裏世界で女子大生がバンバン拳銃や機関銃を撃つという非常にフェティッシュな要素も含んでいる。
 この辺は女子高生×機関銃のような黄金比的ギャップだろうが、作者の趣味もあるのかもしれない。

 物語は王道の怪異物。
 一筋縄ではいかず、時には人間同士ですら対立を余儀なくされる、そんな厄介な世界の物語である。
 その中で面白いのが、女性作者らしいキャラ造形のドライさだろう。
 良い意味で主人公格の3人(研究者の小桜も含めて3人)は非常に自分勝手で、実に人間的だ。
 特に鳥子のキャラ造形は、ファイル4で語られた生い立ちも含めてなかなか凝っている。

 ライトテイストなSFとして描かれた物語は、楽しく読ませていただけた。
 程よい気持ち悪さ、程よい恐怖と、濃厚な人間模様が描かれた良質なホラー小説である。
 私的には星五つで評価したい一冊である。次巻以降の読書も楽しみだ。

0
2021年12月01日

購入済み

ピクニックではない

裏世界ピクニックという名前だが決してピクニックではない
裏世界で遭遇するものは恐怖の塊、とはいえ現実世界のネットロアや怪談をモチーフにしているからかファンタジー過ぎないのがよい
コミュ障陰キャサブカルオタク×隠れコミュ障金髪碧眼美少女が裏世界を探検しながらどんな関係性を築いていくのか今後に期待

0
2021年02月28日

Posted by ブクログ

現在、日本SF界で話題になっているのが、中国SF・SF第七世代・百合SFの3つである。本作品は百合SFで最も注目されている作品、シリーズと言っても過言ではない。百合のレベルは、「恋愛」の様なハード系というよりも「友情」といったソフト系に属する。設定では主人公の2人は女子大生だが、別に草食系男子大学生であってもストーリーは成り立つと思う。
本作品は2017年からハヤカワ文庫JAでシリーズ化されており、現在第5巻まで刊行されており、第6巻は3月に発売予定である。それと並行してコミックが2018年からスクエアエ・ニックスで発売され、これも第5巻まで出ている。JAの1巻につきコミックが4巻のペースで作品化されているので、このままの計算で行くとコミックは最低でも24巻は出ると思われる。その点でも期待は大きい。そして本作品のアニメは1/4からTOKYO MXで放送開始、ニコ動でも配信している。
一つの作品を小説・コミック・アニメの3つで楽しめる訳だが、最近この作品を知った私はどの順番で見た方が良いのか考えた。色々順番を変えたりして試行錯誤しながら検討した結果、「小説→コミック→アニメ」が良い。この小説の文体は脚本の側面を持っていて、カッコ書きの台詞が多いのに加え、場面描写が具体的なのは漫画化・アニメ化にも繋がる重要な要素。アニメを観てから小説を読むと、本当に脚本を読んでいる気分になるので、それはあまりお奨めしない。
今回は小説の中身については触れなかったが、設定のアイディアは秀逸で、回を重ねるごとに次の作品を読みたくなる衝動に駆られる。のめり込める作家の一つに加わりそうだ。

0
2021年01月24日

Posted by ブクログ

都市伝説、実話怪談、フォークロア好きならはまると思われます。ワタシはめちゃくちゃ面白く読めた! 元ネタ解説してるのも好感度高いし、説明する文章が読みやすい。ちなみに実話怪談は文章がうまくないと面白くないのです。読みにくいのはこの手の小説では致命的だと思うので、この宮澤伊織作家は上手いなぁと思います。アニメ化めちゃくちゃ楽しみにしてます。百合小説ぽさが濃いぃとワタシはダメになるかもしれないんですけど。1巻は大丈夫でした。

0
2020年09月29日

購入済み

怖いけどワクワクした

普段、ホラー系の小説は読まないのですが、怖いもの見たさな気持ちに押されて購入。内容もネット怪談とか都市伝説を元に書かれていることもあり、懐かしさと怖さを感じつつ、裏世界の冒険のワクワクまで味わえるとあってイッキに読み終えてしまった。

0
2020年01月25日

Posted by ブクログ

女子大生の空魚(そらを)と鳥子(とりこ)が、裏世界で消息をたった鳥子の親友である冴月(さつき)を探す物語。世の中の怪談をベースにしており、うまく説明できないが、ラノベのような軽い展開なのに、人間として恐怖を自然に感じる物語である。メインの登場人物が若い女性であり、ジャンルは百合SFである。個人的には、このように女性が苦難に立ち向かう話は好きだ。アイドルを愛でる感覚に近いのかもしれない。もしくは、自分が単にサドなだけかもしれないが。さて、本書はシリーズの第1作。続きも読む。

0
2019年08月20日

Posted by ブクログ

”百合が好きな人たちの間には「百合について語るな、百合をやれ」という感覚が共有されていると思うんです”

 とあるインタビューでそう語った作家がいた。その作家は配信中のVtuberのチャットの現れたかと思えば、突如自身の人格からワオキツネザルを分離させVtuberデビューしたりしていたが、とにかく信頼できる作家であることは分かった。
 だからこそ、極上の百合小説が読めると喜び勇んでページをめくったのだが、私はこの小説が「SF」であり「ホラー」であることを失念していた。

■ホラー
 主人公である空魚と鳥子が冒険する「裏世界」は一見するとのどかな世界だが、その実常に死の危険と隣り合わせている。実話怪談をベースとした化け物たちや、目に見えない罠〈グリッチ〉ももちろん恐ろしいのだが、読んでいて真に恐怖を覚えるのは言語や認識が侵される場面であろう。この裏世界に入り込んだ人間は、何らかの影響を受けてしまうらしい。自分では普通に会話をしているつもりなのに、はたから見ると意味不明なことをしゃべっている。そんな風に自分では正気だと思っているうちに何かを歪まされるのだ。目の前に存在する怪物と違い、物理的に防御も抵抗もできない侵略は、それに気づいたときにたまらなく恐ろしい。
 そんな危険な裏世界に「二人なら」と挑んて行く姿に百合を感じるのである。

■百合
 百合と言っても空魚と鳥子が恋愛をして恋人同士になるとかそういうことではない。百合とは女性同士の恋愛だけを示すのではないと作者も先ほどのインタビューで語っている。

 ”百合とは何かといえば、“女と女の関係” といえば間違いないといえます。”
 ”この「関係」とは「恋愛」だけではなく、恋愛をもその中に包み込む非常に大きな“何か” です。この時点でもう、「百合=女性同士の恋愛」という定義は当てはまらないことがおわかりいただけると思います。女と女を結びつける“何か” は「巨大不明感情」と呼ばれたりもしました。2016年くらいに確立した概念ですね。「感情」の動きをちゃんとやるとフィクションの「解像度」が高まるんです。解像度の上がった百合は「強い」。”

 個人的にこの「巨大不明感情」という概念がとても好きなのだが、空魚と鳥子の間にも一言では表せないような複雑な感情が横たわっている。お互いに信頼と好意があるのは間違いないのだろうが、感情の矢印がしっかりとお互いに向き合っているわけではない。そのズレから衝突することもあるが、そんな衝突や裏世界の冒険を経て、二人の関係がどのように変化していくのか目が離せないのである。

0
2018年12月01日

Posted by ブクログ

世界観がとても良い。
昔から妖怪やら都市伝説、UMAなどが好きだが、この本はとても刺さった。
特にくねくねが見える原理などが考察されており、ただの化け物ではなく設定がちゃんとしてる辺りに若干のSF味を感じてワクワクした。

0
2024年03月24日

Posted by ブクログ

裏世界や異界に行ってしまうという舞台の物語はいくつかあると思うのだが、それが2ちゃんねる(現5ちゃんねる)などで流行っていたネットロアの数々ってアイデアはなかなか面白い。
あ、八尺様か! くねくねじゃん! きさらぎ駅か! と、かつて震えながら読んでいたネットの都市伝説の数々が懐かしさを持って現れてきたのが、妙に嬉しかった。
そして当然物語はホラーな展開を迎えていくのだが、そんな展開を和らげるような二人の主人公の百合関係(そう言っていいのかわからないが)も、微笑ましくて良いスパイスになってる。

さすがに現段階で8巻もあると読むのが若干億劫ではあるのだが、ライトノベルだから仕方がないか。

0
2024年02月05日

Posted by ブクログ

ややダウナーで人嫌いの紙越空魚と天真爛漫仁科鳥子の出会いは「検索してはいけないもの」が巣食う<裏側>の世界。 まだぎこちない関係性の二人が挑む怪異探険ファイル。

 怪異探険の命がけのサバイバル奇譚。 というよりかは鳥子ちゃんに振り回される空魚ちゃんの成長を百合百合しく楽しむ物語だと思う。 非現実の怪談の描写はもう少し頑張ってほしいと思う。

0
2023年08月08日

Posted by ブクログ

いや。
ラノベなんだが。
力のある人がラノベ書くと、面白い。
怪談と、SFのコラボ。
続きかあ。
面白い。

0
2023年01月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

裏世界=恐怖関数という設定と、人間の持つ恐怖への特性を通じてアクセスしてくる何かのネットロアを通じた表現が良かった

0
2023年01月03日

Posted by ブクログ

空魚(主人公)が迷い込んだ謎な世界。
奇怪なモノと出くわし、死にかけるも、金髪の美少女、鳥子に出会う。
二人で何度も裏世界に赴いては、命からがら現実の世界へ。

都市伝説やネット怪談を元に、
この裏世界では怪異が現れる。
聞き齧ったことのある話と怪異がリンクすると、急に怖さが増す。
知らなくても怖いけれど。

裏世界は穏やかな世界ではなく、
むしろ精神干渉や幻覚などを誘引し、トラップもごろごろ。
こんな世界、一度行ったらもう懲り懲りだと思うけど、主人公たちは行くんだなー、これが…。
理由はそれぞれどうあれど。

続きは気になるが、怖いもの見たさに近い。

0
2022年04月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分だけが知っている秘密の世界「裏世界」、神越空魚はそこで死にかけていた所を仁科鳥子に助けてもらった。自分だけの秘密の世界が秘密じゃないことに残念がりながら裏世界で行方不明のなった鳥子の友だちを探す手伝いをすることに。
都市伝説が実在する裏世界、そこは不思議と不気味と奇妙がごちゃ混ぜになっている上につねに死と隣合わせ。読み手もハラハラとドキドキがごちゃ混ぜ状態になるが、空魚の一人称で書かれていて感情移入しやすく読みやすかった。そして、1話の中で都市伝説が2、3個は出てくる。くねくね、異界エレベーター、きさらぎ駅、猿夢、時空のおっさん、チャイムの訪問者を私は知っていた。1巻だけあって都市伝説の代表的なものが多くこういう話が好きな人は楽しめると思う。ただ、読み物として面白いが私は小桜と同じで興味があり、知りたいくせにセロトニントランスポーター遺伝子が短い。2巻を買うべきかどうか悩み所だ。

0
2022年03月31日

Posted by ブクログ

作者は「神々の歩法」という作品で創元SF短編賞を受賞していますが、今回はだいぶ趣向の変わった作品になってます。登場する怪異はネットロアや都市伝説をもとにしたとのことですが、ほとんど初めて聞いたものばかりでした。続きに期待してます。

0
2021年11月18日

Posted by ブクログ

怪談によくある湿り気と執拗さがあんまりない上に物理が効いてしまうので期待してたのとは少し違ったけど、ネット上のいろんな怪異が盛りだくさんで設定にプラスアルファがあるので面白く読めた
きさらぎ駅に迷い込んで帰れなくなった自衛隊が陣地を構えて怪異と戦ってるとか、そんな設定にするのか〜ってなった
銃で探検しながら敵を倒していく冒険物語なのかもしれない
主人公の女の子二人がいちゃいちゃしていてかわいい

0
2021年06月07日

Posted by ブクログ

友人に勧められて読んでみた。
百合と聞いていたけれど、一巻は友情ベースの百合寄りという感じだった。
世界観の設定が秀逸であり、読めば読むほどどんどん引き込まれて1日で読み終わった。やはりSFだけに裏世界の設定を理解するには時間がかかりそう、というよりまだ小説内でも一巻では裏世界が何かは解明されていないのか。
脳の認知機能がどうの…と言っていたけれど、人間の恐怖と関係がある世界だという説明に足るおどろおどろしさがあり、夜道を歩くのが少し怖くなった。
2巻以降も楽しみ。

0
2021年04月06日

購入済み

コミック一巻既読

コミック一巻既読済みです。
元々、コミック作画担当の水野英多さんのファンだから興味を持ち購入。

コミック一巻で世界観に引き込まれ、小説も購入しましたが、色々あって積ん読状態でしたが、アニメ前に読んでおこうと、読みだしたら止まらない。

雰囲気としてはクトゥルフ神話よりの人の恐怖や狂気に密接な感じ。

それでいて、題材はネットロアという現代怪奇譚という、変わり種な感じ。

オカルト苦手な人は気を付けてください。

0
2020年12月12日

Posted by ブクログ

ネットの都市伝説は存在した。そこは街中から繋がる異世界だった。そこで空魚は鳥子と出会い意気投合し、異世界にいるという鳥子の知り合いを探すことに。
面白いSFだった。何だか訳のわからないモノが襲ってくるしトラップはあるし軍隊まで迷い込んでるしで、次々と厄介ごとが出るのにピクニックのように楽しんでる主人公たちが面白い。

0
2017年09月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルに惹かれて購入。最近、都市伝説をテーマにした小説が多い様に感じます。大抵の作品は、現実世界が舞台ですが、この作品は異世界が舞台。
それなのに、都市伝説の怪異が違和感を感じさせずに描かれているのは、著者の宮澤伊織さんの筆力が高い証拠だと思います。
個人的には「ステーション・フェブラリー」がお気に入りです。

0
2017年05月28日

Posted by ブクログ

裏世界と呼んでいる偶然入口を見つけた無人の空間には、様々な怪異が存在していた。
実際に掲示板で話題になった怪異譚を扱っているのだが、参考文献の膨大さには驚いた。
元も子もないことだけど、怪異さえいなければ本当に最高の空間なんだよな。。。

0
2023年10月08日

Posted by ブクログ

ずっと積んであったけれどアニメも始まってしまったので急いで読み始める。空魚、陰キャオタクかと思ったら依存性サイコパスで笑ってしまった。小桜さんが1番まとも…まとも? ネットロアはどこかで見たような、見てないような。危険だけどどこかのはほんとしていて奇妙な心地。きさらぎ駅の兵隊たちはどうなったんだろう。沙月さんも出てくるのか気になるところ。続きも楽しみだ。

0
2022年01月16日

Posted by ブクログ

ネットロアをモチーフにした(今のところ)軽い感じの冒険小説、というかラノベ?
テンポよく話が進みます

0
2020年11月29日

Posted by ブクログ

ネットで見たことのあるホラーをベースに異世界を探検する話。
都市伝説とか怪談との遭遇をリアル実況してくれてるのを見てるような感覚。
SFのようなホラーのような。

0
2020年11月02日

Posted by ブクログ

和気あいあいなだけじゃなく、背筋が凍るような現代の怪談をベースにした、異色のアドベンチャー。
二人の関係性がいいね!

0
2020年05月18日

Posted by ブクログ

「くねくね」や「八尺様」などの異形が跋扈する、世界の裏側を探索する少女二人の怪異譚SF。異形の描写はやや写実性が曖昧なものの、暗さではなく明るさをベースにした裏世界の描写は異世界感が際立っており、現実では無い場所を想起させる秀逸な描き方だと思う。下手な暗闇より不自然な明るさのほうが何倍も怖く、その明るさの恐怖を踏まえているからこそ、裏世界の夜はより恐怖が増大するというのは上手い描き方であった。

ただ惜しい点もいくつかあって、それは裏世界の夜での恐怖体験が少なかったことだろうか。怪異による精神汚染や、くねくねの突起が生えるなど、生理的な恐怖感もよかったが、もっと色んな方面で怖がらせても良かったような気はする。確かに美少女二人が毎回発狂寸前まで追い詰められるのは良かったが、登場人物の数も少なく、被害者も同様に少ないため死の恐怖は薄かった。また怪異の及ぼす影響もやや半端で、手と目という「認識」と「接触」の能力を得たというのは面白いのだが、人目を引く以外に、現実世界で何かしらのデメリットがあってもよかったと思う。ドロップアイテムや常識が足がかりにならない世界で、唯一怪異を「見る」や「触れる」といった常識的なラインに引きずり落とすことのできる対抗策になるというのはいいのだけど、悪影響も見てみたかった。やはりそれは対比表現の問題であり、裏世界と比較して日常を安全にしてしまったせいで、やや裏世界の恐怖の「持ち越し」を拒んでしまったせいだろう。裏世界には侵入するのではなく迷い込むという体裁をとっているのが良かっただけに、裏世界から日常というベクトルでの侵食も欲しく、日常が崩れ去る恐怖も読んでみたかった。ホラーではないのでそこまでの恐怖は要らないかもしれないが……。あと全てを根源的恐怖への知覚や認識の問題にしたのは賛否両論あるかもしれない。SF好きとして理屈が欲しい気持ちは分かるが、正体不明の恐怖が解き明かされていくのはやや冷めてしまう部分もある。こういうアプローチを試みるのは好きなのだが、個人的には完全に法則の違う別世界として独立してくれていたほうが望ましい。

もう一つの要素である百合は中々のもので、友達や恋人といった風に、関係性が固定されない百合描写は素晴らしい。また死線を越えるたびに絆が深まるというのも丁寧に描かれている。怪異を銃で撃退するのは、怪異に対して物理的な抵抗を想像した人間なら爽快感があるだろう。くねくねを発狂寸前まで見つめながら、マカロフをぶっ放す様はケレン味がある。ただその代わりというわけではないが、怪異に魅せられて廃墟探索に行く人間の心情は凄く上手く描けている。恐怖心というものと同様に探究心もまた根源的なものである。色々と惜しい部分も多い作品ではあるが、次巻以降も読んでみたいと思う。

0
2019年05月29日

Posted by ブクログ

ファンタジー。SF。冒険。連作短編集。
「八尺様サバイバル」「ステーション・フェブラリー」はSFマガジンで既読。
挿絵もあり、ほぼライトノベル。
SFとしては、ストルガツキー兄弟の『ストーカー』が近いか。
ホラー、怪談、百合、ガンアクション(?)の要素もあり。
気軽に読むには良さそう。

0
2019年04月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文章・文体がいいですね。読みやすいし読んでいてい気持ちいい。次第に明らかになっていく裏世界の設定も説得力のあるもので今後の広がりに期待。今のところまだ登場してないけど行方不明の冴月が存在が一番怖いです。

0
2018年10月05日

Posted by ブクログ

都市伝説や怪談やネットロアの怖い話が元ネタのホラー小説。
世界のあちこちにある「入口」の向こうの「裏世界」、そこで出会うのは「くねくね」だったり「きさらぎ駅」だったりで参考文献が2ちゃんねるオカルト板だったりする。

正直怖い。
ホラーなんて映画もほとんど見ないのに、宮澤伊織さんだから手を出してしまった…。
でも怖いという感情の学問的解説を聞けて良かった。
あと裏世界の解説はややSF的で助かった。

0
2018年01月14日

Posted by ブクログ

ネット上で有名なオカルト(都市伝説)をモチーフにしたSF小説。
表紙のイラストに加え、ネットの都市伝説を題材にしている時点でラノベテイストなのですが、
都市伝説は好物なのでつい購入して一気読みしてしまいました。
主人公達の喋り言葉も現代語を話し、名前もネット上のハンドルネームのような名前です。
八尺様やクネクネ、きさらぎ駅等有名所を使っているので、都市伝説好きな人であれば「あの話だw」とそれなりに楽しんで読めるかと思います。

0
2017年05月07日

Posted by ブクログ

ネット怪談×異世界ですか…ということで買ってみたけど、『ウは宇宙ヤバイのウ!』の人だったことに気付いて、より期待値が高まった一冊。
うん、なかなかネット怪談的な不気味さとマイナーニッチ感があってよかった!
ネット発祥の怪談を素材としているからか、メインキャラクターたちも妙に人づきあいが苦手で友情に飢えているところがあって、実にそれらしい空気感だった。

0
2017年03月20日

「SF・ファンタジー」ランキング