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思いがけないきっかけでよみがえる一生に一度の恋、そして、ともには生きられなかったあの人のこと――。大胆な仕掛けを選考委員に絶賛されたR-18文学賞大賞受賞のデビュー作「カメルーンの青い魚」。すり鉢状の小さな街で、理不尽の中でも懸命に成長する少年少女を瑞々しく描いた表題作他3編を収録した、どんな場所でも生きると決めた人々の強さをしなやかに描き出す5編の連作短編集。(解説・吉田伸子)
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Posted by ブクログ
こんなにも美しく切ない小説があったなんて。 町田そのこさんの作品を初めて読んだが、とても好きな文体、世界観だった。人は皆それぞれ弱いところがあって、どこかへ逃げ出したい時もあるけれど、そんな中でも自分の性格、状況を受け止め精一杯生きていこうとする登場人物に惹かれた。
チョコレートグラミーという熱帯魚の名前が入った美しいタイトルに惹かれました。 チョコレートグラミーは、親が口の中で稚魚を育てて外敵から守るマウスブルーダーで、縞模様の入ったミルクチョコレート色の魚なのだそうです。 まだ見たことのないもの、知らないこと、気づいてないこと、わからないことがわたしにはた...続きを読むくさんあり、それが少し怖いです。 人は、生まれる場所や環境を自分では選べないし、生まれ持った性分は変えられないし、どんなに努力しても叶えられないこともあり、直面する人生の危機が見えないのが不安なのです。 でも、この小説を読んで思ったのは、夜空を水槽に見立ててチョコレートグラミーを泳がせることができるように、絶望的な深い闇の中にも永遠の命を見出せるのではないかということです。 闇が深いからこそ見える美しさがあるということです。 この作品は5編の連作短編集です。 想像力に溢れた文章と巧みな構成で、物語の中に引き込まれました。 5編それぞれの最初の一文がどれも素晴らしかったです。 なかでも特に好きなのは、5編目の「海になる」の書き出しです。 「今日はわたしの誕生日で、とてもいいお天気の日曜日だから、死ぬにはぴったりの日だなと思った。」
5話それぞれに、生きづらさと一筋の光があった。 晴子には啓太が、桜子には清音が、唯子には宇崎が...生きづらさを自分一人で抱え込むのは本当に辛い、だからこそその痛みを分かち合える他者の存在ってすごく大きいな〜〜と改めて。 私は特に『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』が大好き。いつも守ってくれていたお...続きを読むばあちゃんがいなくなった今、自分の力で殻を破っていこうと不器用ながらに変化する晴子と、その姿を素直にかっこいいと思える啓太。片親である母親が、父親探しを諦められていないことへのもどかしさを感じつつ、いざと言うときに助けになれるようにバイトをし始めた啓太と、その意図を見抜いて素敵だと言える晴子。 苦しみを乗り越えることは簡単じゃないけれども、その苦しみに向き合うために、前を向くために、互いの存在が作用していて。夜、展望台でのシーンは切なくも温かくて胸が震えた。
ボロボロのみずぼらしい身なりをして、空腹を抱え、荒れ果てた地方の街を、圧倒的な絶望感を抱えながら裸足でトボトボと歩いているような、、、そんな気持ちになってしまいました。 そんな気分にさせてしまう文書力が凄すぎます。 現在週に一度、日経新聞のエッセイで読んでいる町田さんの素顔に近い部分は、「九州に住...続きを読むんでいる、食べることが大好きで、ウィットに富んだ文章を書く人」という印象を抱いてしまいます。 過去に読んだ「ぎょらん」と「コンビニ兄弟」。同じ町田さんの作品なのだけれど、私にとってはまるで別の作家さんの作品のように思えてしまいます。 「ぎょらん」を読み始めた時、どうにも読むことが苦痛に思われてきたのです。特に最初の2篇。登場人物たちの「とても正気の沙汰とは思えない暗くてグロテスクな生き様」、「救いようのない悲しみと苦しみ」がリアルに描かれている。リアルに見えるというだけではなく肌でも感じられ、音も聞こえ、匂いもしてきそう。しかし、徐々に読む印象が変わってきました。圧倒的な筆力に脱帽しました。それが町田さんとの出会いだったのです。 この作品は「ぎょらん」に近いのかもしれません。ストーリーの圧倒的な暗さと感じる無力感、寂しさといった感情に呆然としてしまいました。 作品全体の構成でも、町田さんの圧倒的な筆力に翻弄されてしまいました。カメルーンの青い魚」で先づガツンとやられてしまい、読み進めて少しづつ平衡感覚を取り戻してきた、と思っていたら徐々に精神状態が不安定になり、最後の作品で息の根を止められてしまうかのような、そんな感覚でした。脳が壊れてしまいそうでした。 町田その子さん。恐ろしい作家さんです。
短編のようでいて、どこかで誰かと誰かが繋がっている、その発見がおもしろいな。登場人物みんなと知り合いなような、不思議な感覚に陥る。
解説にもありましたが、各短編の出だしがすごすぎる。まんまと心をつかまれました。短編だけど、つながっていて、心があたたかくなりました。設定はどれも重めだけど、その中でも希望を見せてくれていて、ページを捲る手が止まりませんでした。52ヘルツよりすきかも。 「仕掛け」もいいスパイスになっており、最高でした...続きを読む。天才。
町田そのこさんのデビュー作だとか。 本当に?って疑いたくなるような出来栄えにビックリ! 初めて町田そのこさんの小説を読んだ時は、重いテーマに、町田そのこさん好き!とまではいかなかったんだけど、いくつか読んでいくうちに、今は大好きな作家さんになったな。 繋がりのある短編集の今作も、闇があったりと読んで...続きを読むハッピーっていうのではないんだけど、グサグサと惹き込まれてました。
本当に処女作か5回くらい疑って、周りの友達に読むよう沢山奨めた。すごくいい本で、読んで良かったと思うし、出会えて良かったとも思うし、これからも好きだなあと思う
大好きなやつだった。 生きづらい人達の前向きな話し。淡々としたテンポで進む感じもよく、烈子ばあさんと晴子のとこなんか、スッキリしたりプッと吹き出したり切なくなったり、感情が忙しかった。 桜子の旦那と晴子の父以外、全員幸せになればいいのになんて感情移入したりした。
匿名
短編集なにの長い長編を読んだみたいでした。 物語の登場人物が繋がってるのでそんな感じがするのかもしれませんが、読み終えた後の感動は凄かったです! どれも前向で自分の心を強くしてくれた気がします!
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夜空に泳ぐチョコレートグラミー(新潮文庫)
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町田そのこ
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