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古代ギリシアにおいて初めて倫理学を確立した名著。万人が人生の究極の目的として求めるものは「幸福」即ち「よく生きること」であると規定し、このあいまいな概念を精緻な分析で闡明する。これは当時の都市国家市民を対象に述べられたものであるが、ルネサンス以後、西洋の思想、学問、人間形成に重大な影響を及ぼした。
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Posted by ブクログ
上巻、下巻すべて読み終わった後の感想を書きます。下巻の最後に解説があり、それを最初に読んでから本書を読み進めるとよかったかなと思いました。「二コマコス倫理学」という日本語タイトルについての注意点や(正確に言えば倫理学について語っている本ではないよという指摘)、また本書の重要概念である「エウダイモニア...続きを読む」についても、本書内では幸福という訳語が充てられていますが、むしろウェルビーイングというほうが近い、というような注釈がなされていました。 特に後者が大事かなと思うのですが、アリストテレスが「幸福」について語っていると思ってしまうと違和感を持つ個所が多々ありました。明らかに日本人の幸福感とは異なる価値観が展開されているからですが、「エウダイモニア」の概念をウェルビーイングだとして本書を読めば、かなり腹落ちすると思います。人間は知的卓越性だけでなく倫理的な卓越性を持たなければならない。そして倫理的な卓越性は日々の行動、実践によって培われていくこと、さらに何においても中庸こそがもっともすぐれたことなどが議論されています。そこで必要になるのは知慮(フロネシス)ですが、知慮は普遍的なものというよりは、場所や時期によってそのコンテクストを変えていく変幻自在の知であります。知的・倫理的卓越性にもとづいた日々の活動が最高の善、すなわちエウダイモニアにつながっていくということになります。2300年前の文書が現代においてもこれだけ読まれていることに驚愕すると同時に、その書かれている内容の普遍性についても驚愕を禁じえませんでした。
現代人から見ても決して常識はずれではない、高度に洗練された幸福論です。2300年以上前に書かれたとはとても思えない。しっかりと読むコツは、独特の諸用語が持つ意味を、特に用語と用語の関係性に注意して、訳注を参考に着実に捉えていくことだと思います。たとえば「情態」と「性状」という2つの語は、日本語的には...続きを読む似ていますが、原語においてはむしろ対になる概念ですので、注意が必要です。
おもしろい。抽象化は哲学。これに全部詰まってる。これらの言葉を念頭に置いて倫理観を持って生活すれば人格者になれる。なりたい。結局は人間にちとって、知的活動(=徳の追求)に勝る楽しさはないんだなと思う。自分は自分がつくり上げるもの。知慮を念頭に置いた習慣行動が人格を変える。
倫理学を学ぼうと思ったらまず最初に必読の本。古代ギリシアにおいて最初の倫理学集成。ニコマコスが書いたのではなく、アリストテレスが書いたものを息子ニコマコスが編集した本です。
ウェルビーイングを考えるならばまずこの本を読むべきだろうなあ。まずこのひと言。噛めば噛むほど良さが出てくる本だと痛感した。
無謀ではなく、臆病でもなく、勇気をもて。 虚栄ではなく、卑屈でもなく、プライドをもて。 鈍感ではなく、神経質でもなく、おおらかであれ。 友人は第二の自己である。 革命は些細なことではない。しかし些細なことから起こる。
2300〜2400年?も前に生きていた人が書いた(講義した)ものとは思えない。資本主義も新自由主義も存在しないし国家(共同体)や経済の規模や概念も異なる、そんな時代での考察だけど、現代に生きる僕でも充分に共感や気付きを得られる内容が多かった。 徳のうち技術に関する話は自分の仕事感、また友愛(フィリ...続きを読むア)に関する話は、自分の職場や家族との人間関係を改めて考えるきっかけになった。 ここまで共感出来るのは、この本が人間の本質を突いているからだろうか?それともアリストテレスの影響も受けつつ長年掛けて形作られた倫理・哲学世界の延長線を僕が生きてるからだろうか? 答えはわからないけど歴史や古典をもっと勉強したいと思われてくれる一冊だった。 因みに本の読解は難しかった。NHKの解説本(100分で名著シリーズ)やネットの解説を頼りながらなんとか読み進めた。
今年前半、プラトンを1冊、ギリシア悲劇を1冊と読んできたので、よっしゃ次はアリストテレスだ! というわけで手に取ったのがこちら、『二コマコス倫理学』。 さて、はりきって読み始めてみたものの。 ううーーん、これ、難しい(泣)。 書かれている内容が難しい、というのではなく、もはや目で文字を追っても、脳...続きを読むが意味をとらえられなくて、ただただ文字が流れていくか、そのうち注意力を失って気がつくと眠りに落ちているかのどちらか。 うん。これは、あれだな。 自分がその本を読むための前提となる土台を有していないにもかかわらず、読んでしまった時におこる現象だなあ。 いきなり原著から読まないで、入門書か解説書にすれば良かったかなあ、と少し後悔しましたが、せっかく買ったので、わからないことを気にせず、割り切って読むことにしました。 こういう場合の私の割り切り方とは、文章を理解しようとせず、ただただ文字を一定のスピードで、あまりじっくり読むと眠くなるので早めに、淡々と流していきます。 そして、たまーに「お、なんか面白いかも?」と思う一文に出会ったら、素直に喜ぶ(笑)。 川底から砂金を見つけたかのように、その一文をゆっくり眺めて味わいます(砂金、探したことないけど)。 そんなこんなで、なんとか辿り着いた上巻のラスト。 この調子で、爽やかに、下巻に進みたいと思いまーす(汗)。
読み始めて慣れるまでは、やたらとややこしい… ああだこうだと分類されてなかなか頭に入ってこなかった。だがもう兎に角のところ読めばいいやって通読を心掛けたらなんとか読めた。 古典的哲学書だと思ってたから敬遠してたけど、意外にも実用書ぽくってなんだか得した感じ…(^^ゞ
「二コマコス倫理学(上)」Aristotle 人は自分の知っている事柄については優れた判断をする事ができる。全てにわたって教育のある人は、無条件的な仕方においてのよき判断者である。 善には、外的な善、身体に関する善、魂に関する善の三つがあるが、魂に関する善が最も優れた善である。 幸福の為に決定...続きを読む的な力を持つのは卓越性(アレテー)に即する活動に他ならない。 幸福はあらゆる意味において究極の目的でなければならない。 アレテーには知性的、倫理的の二通りがあり、前者は教示に負うものであるから経験と歳月を要し、後者は習慣づけに基づく。 節制も勇敢も過超と不足によって失われ、中庸によって保たれる。 然るべき時に然るべき事柄について、然るべき人に対して、然るべき目的の為に然るべき仕方においてそれを感ずる事が、「中」的にして最善であり、徳である。 全ての活動(エネルゲイア)の目的は、その活動をせしめる時の状態(ヘクシス)の目的とするところと同じ性質である。 豪華な人は識者、達人のようなもの。ふさわしいところを観てとり、壮大な出費を調子の取れた仕方で果たす。 技術(テクネー)は好運(チュケー)を愛し、好運(チュケー)は技術(テクネー)を愛する。
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アリストテレス ニコマコス倫理学
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高田三郎
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