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お互いに記憶の深層から紡ぎ出した欲望の言葉で、“近親相姦”を語る兄と妹(デュラス『アガタ』)。不在の男を相手に、女が電話越しに“別れ話”をひたすら語る(コクトー『声』)。男と女、すれ違う言葉と想い……。対話と独白の、抑制された動きと「語り」の濃密さが、鮮烈な印象を与える、一幕もの傑作2篇を流麗な新訳で。
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Posted by ブクログ
『アガタ』はお互いに性愛を抱いている兄と妹が過去の思い出を互いに語り合う話し。 打ちのめされたような優しさをもって語り合うという序文が印象的。 『声』は女性が殺人のあったような部屋の中で電話向こうの男性と別れ話をする独白。女優は絶えず血を流し次第に血を失っていく、足を引きずる獣のように、最後は血の充...続きを読む満した部屋の中で芝居が終わると、鮮烈なイメージが的確。評価されるだけあるという印象。実際に芝居を見ればより素晴らしい感動が得られるだろう。
男女2人しかいない、しかもあまり動きのない劇の「アガタ」と女優が独りで電話をしている「声」の2篇。「アガタ」を朝読み、「声」を夜読んだ。どちらも実際の舞台で観ないとよくわからない。けれども教会の鐘や寺の鐘が鳴り止んでもいつまでも耳の中で鳴っている気がするように読み終わってからも電話で話す「声」が聞こ...続きを読むえてくる気がするし、寄せては返す波のように「アガタ」の男女の呼びかけがリフレインする。昔、国語の教科書にあった、上田敏の訳詩「私の耳は貝の耳/海の響きを懐かしむ」という詩を思い出した。コクトーの詩だったかな? 共通するのは濃密な時と過ぎ去った過去。悲劇の予感。
〝アガタ〟という名の少女と、その兄との関係性の遍歴。あの夏の日。繰り返し離れようと、けして離れられなかった二人のお話し。 自分を捨てて新しい女ともうすぐ結婚する男に、最後の電話を掛ける。一人芝居。そして電話の切れた後。 戯曲を読むのは初めてだと思う。イメージの奔走を追いかけるような、感覚の背びれ...続きを読むに捕まってすごい速度で読み切った本。 これを下敷きにお話しを書くのも楽しそう。
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