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Posted by ブクログ
男女2人しかいない、しかもあまり動きのない劇の「アガタ」と女優が独りで電話をしている「声」の2篇。「アガタ」を朝読み、「声」を夜読んだ。どちらも実際の舞台で観ないとよくわからない。けれども教会の鐘や寺の鐘が鳴り止んでもいつまでも耳の中で鳴っている気がするように読み終わってからも電話で話す「声」が聞こえてくる気がするし、寄せては返す波のように「アガタ」の男女の呼びかけがリフレインする。昔、国語の教科書にあった、上田敏の訳詩「私の耳は貝の耳/海の響きを懐かしむ」という詩を思い出した。コクトーの詩だったかな?
共通するのは濃密な時と過ぎ去った過去。悲劇の予感。