ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
4pt
ソ連邦末期、世界最大の版図を誇った巨大帝国は、空虚な迷宮と化していた。そしてゴルバチョフの「改革」は急速に国家を「自壊」へと導いていた。ソ連邦消滅という歴史のおおきな渦に身を投じた若き外交官は、そこで何を目撃したのか。大宅賞、新潮ドキュメント賞受賞の衝撃作に、一転大復活を遂げつつある新ロシアの真意と野望を炙り出す大部の新論考を加えた決定版!
アプリ試し読みはこちら
Posted by ブクログ
四読目、かな? やはり今回もサーシャさんの印象が強い。 神通力とでも言うべきか、深い知識と広い視野が基礎としてあれば、ここまで精度の高い未来予測が可能となるのか? なるほど、確かに「天才」だったのだろう。 あとアルクスニスさん、ポローシンさん、シュベードさん辺りも印象に残ったかな。 まあとはいえ、...続きを読む今作の「視点人物」である佐藤さんだからこそ、この「物語」は描けたのだろう。 ソ連(ロシア)の大使館を拠点に現場で活動する外交官として、まずはモスクワ大学で、自らの専門知識と好奇心だけを携えて舞台を拡大していく。 そういえば、「外交官には好奇心が必要だ」と、いくつかの外交本で読んだ気がする。 そのことが本書で分かりやすく描かれていた、とも言えるであろう。 当時のソ連の社会とか、ロシア人を含む様々な民族の人たちの生き様や人間模様、あるいは「歴史的な国際的大事件」を内側から観察し、何が起きているのかこれからどうなるのか分からない状況でリアルタイムで判断・行動しなければならない大変さを疑似体験できたりとか、まあ色々見どころはあるわけだけど……。 かなりの良書なのは間違いないと思う。 今回も良い読書をした。良い時間を過ごした。 時間を置いて、また読み返したい。
あっという間に読んでしまった。それほど興味深く読んでいて面白かった。 特殊な立場に立つ人の心情が、ここまで精微に活字化されると読み応え抜群な作品になるとは思いませんでした。
ー 「もしこのクーデターが成功していたら、ソ連はKGBと軍の影響力が肥大しただろう。ソ連は再びとても息苦しい社会になった。しかし、経済的には市場経済、資本主義の方向へ向かっていったと私は見ている。一種の開発独裁国家にロシアはなったと思う」 「社会主義を維持することは不可能だったと考えているのですか...続きを読む」 「不可能だった。これは西側の陰謀が成功したからではない。ゴルバチョフ時代のグラースノスチ(公開制)でロシア人の欲望の体系が変容してしまったんだ。たとえば「31アイスクリーム」だ。ロシアのアイスクリームは『エスキモー』、『スタカンチク』で誰もが満足していた。しかし、ひとたび西側から三十一種類のアイスクリームが入ってくると、子供のみならず大人もみんなそれを欲しがる。車にしてもラジカセにしても欲望が無限に拡大していく。この欲望を抑えることができるのは思想、倫理だけだ。社会主義思想は欲望に打ち勝つ力をずっと昔に無くしていた」 「いつから社会主義思想は欲望に打ち勝つ力を無くしてしまったんですか」 「ずっと以前にだよ。フルシチョフ時代に一時期西側に開かれていた窓をブレジネフが閉ざしたのは、このまま窓を開けておくと、西側の大量消費という欲望の文化が入ってくることに気付いたからなんだよ。ブレジネフは頭がよかった。ソ連人を支配するのは唯物論(マテリアリズム)ではなく物欲(ベシズム)だということを理解していた。非常事態国家委員会の連中もゴルバチョフのことを嫌っていたが、物欲に取り憑かれていた。だからヤナーエフやシェイニンが権力を握ったら、KGBと軍が腐敗して、利権漁りを徹底的に行なったよ。もっとも今のロシアは中南米の腐敗国家みたいになりつつある。ロシアは衰退期に入っているのだと思う。どんなに足掻いても、よい方向には進んでいかない。こういうときは余計なことをせずに世の中の流れをじっと観察していることだ」 ー ソ連崩壊を一外交官からの視点で描いた作品。また、外交官としての彼のビルドゥングスロマン。 〈だからできるだけ早くソ連を破壊するのだ〉 〈ソ連を壊すことでロシアを回復するのだ〉 というサーシャの発言が印象的。 帝国主義の病に冒されたロシアの回復を祈る。
著者の在ソ連日本国大使館勤務時代の体験談が中心。 著者の視点からみたペレストロイカはもちろんのこと、臨場感溢れる登場人物との会話や、ロシアの文化、特に食文化の記述が大変興味深い。 人間関係の機微や、示唆に富んだ記述など、得られるものが多い一冊。
2017.6.20 面白い。外交官としての人脈作り、仕事への姿勢もさることながら、その人脈を駆使して、ソ連崩壊を正確に読み解く力は圧巻。 ソ連崩壊の過程。バルト三国の独立。血の日曜日事件。共産党にかわるイデオロギーとして、ロシア正教会との連携。かの有名なKGBの存在。実はそれを操る政治が重要。まさに...続きを読む権力闘争。ただ、最終的には、民意が勝つ。ゴルバチョフは民意の流れを作り、要は一度欲望をしってしまうと、後戻り出来ない。最後はエリツィンがゴールを決める。こういう権力闘争の中、ポリシーをもって人と付き合うことで、人脈が出来、外交交渉も有利に進める事が出来る。世界の最前線で、まさに命がけで戦う外交官に敬意を表したい。
なかなかに読み応えのある本でした。 ソ連やロシアの実情というか深いところがわかります。 実際自分が著者ならこの時どうしたやろかと思いながら読み進めました。 かなり感情移入することができたと思います。
ソ連崩壊を、両側の人間の内側から描かれていて、リアルに心情が伝わってくる。面白い。 さすが佐藤さんですが、インテリとしてどう生きていくか、その覚悟がカッコいい。
1985年に外交官のスタートとして外務省ソ連課に配属されてから、1991年のソ連崩壊までの、著者を取り巻く人間たちの壮大なドキュメンタリー。 東西冷戦の東の雄であるソ連という大帝国が自ら崩壊する過程を、共産党の知的エリートやサーシャなどのソ連インテリらとの交流を交えての内部から観察した臨場感は、圧...続きを読む巻の一言に尽きます。 また、一方でモスクワ国立大学で親友となったサーシャらとの交流を描いた若き日の著者の青春の一断面が物語の背景に広がっており、読後に哀愁を感じた次第です。
ソ連邦の消滅という歴史の大きな渦に身を投じた若き外交官は、そこで何を目撃したのか?。筆者が今の日本はこの時期に非常によく似ているという意味が読み終えてなんとなくわかりました。『文庫版あとがき』もいい。 この記事を書くために再読しました。非常に面白かったのですが、やっぱり難しいです。この本は『外務省...続きを読むのラスプーチン』こと佐藤優さんが在ソ連日本大使館の外交官として赴任したときに 見聞きしたソ連崩壊までの一部始終を振り返る回顧録です。 筆者は『蘇る怪物』を詳しくは参照してほしいんですが、モスクワ大学で教鞭をとっていた時期があり、そこで知り合ったミーシャという学生を介して、多くの重要人物を仲介してもらったり、自身の体質でウオトカを一日に数本飲んでもあまり二日酔いになることはない、という利点を十二分に発揮して『日本以上に酒を強要する』といわれるロシア人高官を相手にウオトカをガンガン飲みながら自身のルーツであるキリスト教はプロテスタントを基礎とした神学の教養を武器に彼が今でも『師』と仰ぐゲンナジー・ブルブリス氏をはじめとする人間たちに受け入れられていく姿はすごいなと素直に思わずにいられませんでした。 そして、『大使以上の人脈を持っている』といわれる情報網を駆使して1991年のクーデター未遂事件にも正確な情報をいち早く掴み取って、『ぎっくり腰で政務ができなかった』といわれるゴルバチョフ大統領(当時)の生存を重要人物から聞き出したシーンがいまだに強い印象を僕の中に残しています。 そのほかにも読んでいて面白かったのは食事、行動原理や習慣にわたってロシア人のことを細かく観察・描写されてあって、食事や飲酒の場面。そこで供される豪奢な料理。筆者と彼らが交わした言葉の一つ一つにもそういった事がにじみ出ていてロシアおよびロシア人がいったいどういう人なのかということや、あの当時、現場でいったい何が起こったのか?筆者が最近、今の日本がこの時期のロシアにそっくりだという理由がこの本を読むと本当によく理解できるかと思われます。非常に読んでいて骨が折れる文献だとは思うんですけれど、それに見合った対価は保証できる本だと思っています。
ソ連の崩壊を見届けた外交官 難しかったけどすばらしい作品 作品の紹介 ロシア外交のプロとして鳴らし、「外務省のラスプーチン」などの異名を取った著者の回想録。在ソ連日本大使館の外交官として見聞きしたソ連崩壊までの一部始終を振り返る。 「もともと、人見知りが激しい」という著者だが、モスクワ大学留学中に...続きを読む知り合った学生を仲介に、多くの重要人物と交流を深め、インテリジェンス(機密情報)を得る。ウオツカをがぶ飲みしながら、神学の教養を中心に幅広いテーマで議論を交わし、信頼と友情を勝ち取る。その豊富な人脈と情報収集力を1991年のクーデター未遂事件でも発揮、ゴルバチョフ大統領の生存情報をいち早く入手した。 出世競争が最大の関心事であるキャリア組とは大きく異なる仕事・生活ぶりで、外交官の本質を考えさせられる。
レビューをもっと見る
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
新刊やセール情報をお知らせします。
自壊する帝国
新刊情報をお知らせします。
佐藤優
フォロー機能について
「新潮文庫」の最新刊一覧へ
「社会・政治」無料一覧へ
「社会・政治」ランキングの一覧へ
文藝春秋2024年6月号
試し読み
死の言葉
世界宗教の条件とは何か
国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―
希望の源泉・池田思想:『法華経の智慧』を読む(1)
グローバルサウスの逆襲
還暦からの人生戦略
君たちが知っておくべきこと―未来のエリートとの対話―(新潮文庫)
「佐藤優」のこれもおすすめ一覧へ
▲自壊する帝国 ページトップヘ