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ロシア外交、北方領土をめぐるスキャンダルとして政官界を震撼させた「鈴木宗男事件」。その“断罪”の背後では、国家の大規模な路線転換が絶対矛盾を抱えながら進んでいた――。外務省きっての情報のプロとして対ロ交渉の最前線を支えていた著者が、逮捕後の検察との息詰まる応酬を再現して「国策捜査」の真相を明かす。執筆活動を続けることの新たな決意を記す文庫版あとがきを加え刊行!
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Posted by ブクログ
知力を尽くした情報戦、そして、獄中での検察官との対峙、人間にとって、大切なのは、自分を保ちながら、筋を通すこと、そして相手を理解することで信頼関係を得ること 臨場感、細かい粒度、緻密な論理、意を尽くして事に当たれば、なんらかの道が開いていく、そんな思いを感じた書でした。 人間はまず内側から崩れる ...続きを読む決して自暴自棄になってはいけない 常に冷静さを失わないことだ ■外交 鈴木氏は類まれなる「地アタマ」をもった政治家であった 鈴木宗男氏はひとつの特徴があった。恐らく政治家としては欠陥なのだと思う。しかし、その欠陥が私には魅力だった。それは、鈴木氏が他人に対する恨みつらみの話をほとんどしないことだ。 何があっても取り乱してはならない と自分に言い聞かせた。 冷戦構造の崩壊を受けて、外務省内部でも、日米同盟を基調とする中で3つの潮流が形成されてくる 1 日本はこれまで以上にアメリカとの同盟関係を強化する 2 アジア主義、地理的にアジア国家であることをもう一度見直し、中国、アジア諸国と安定的な地位を得る 3 地政学論 政治家は長時間待たせた客のことを決して忘れていたわけではない。内心では何時間も待たせて済まないと思っている。私は逆転の発想で、待ち時間が増えることはその政治家に対して貯金をしていることと考えるようにした。 鈴木邸を辞去するのは午前2時頃で、それからメモを整理し、その時、鈴木氏に依頼された資料を準備する。これが終わるとだいたい朝の4時近くになる。そして、午前9時には、鈴木氏に依頼された資料を届ける。 もちろん鈴木氏とのやりとりの概要は外務省の上司にも報告する。こんな毎日が続いた。 ロシュコフ次官が言う。「佐藤さんはたいへんな愛国者だ。僕たちも愛国者だから、タフネゴシエーターでも愛国者と尊敬するんだよ」 政治家にはスイッチがある。スイッチが入っていない時に、話をもっていっても政治家の頭には入らず、感情的あ反発を買うだけだ ロシア人とは原理原則を大切にする相手とだけ真剣な取引をするのである ナショナリズムには2つの特徴がある 1 より過激な主張が正しい という特徴 2 自国・自国民が他国・他国民から受けた痛みはいつまでも覚えているが、他国・他国民に対して与えた痛みは忘れてしまうという非対称的な認識構造をもつことである ロシア人は、信頼する人にしか、お願いをしない 同じことでも言い方によって相手側の受け止め方は大きく異なる お前、うそをつくなよ といえばだれでもカチンとくるが、お互いに正直にやろう といえば、別に嫌な感じはしない、伝えたい内容は同じである ■国策捜査 日本の裁判の現状では黙秘は不利です。黙秘をすると裁判官の心証は「やった」ということになります。実態を話して最後まで否認することです。それをお勧めします 検事は官僚なので、組織の意志で動く。しかし検事も人間だ。この要素を無視してはならない 情報の世界では、第一印象をとても大切にする。人間には理屈で割り切れない世界があり、その残余を捉える能力が情報屋にとっては重要だ。それが印象なのである クオータ化の原則;全体像に関する情報をもつ人を限定することである 檻の中にいる者には極力情報を与えず、檻の中から得る情報については弁護団だけが総合的情報をもつようにするという考えである 西村検事に対しては、本捜査に関して4点のこだわりを伝えた 1 国益 2 特殊情報に関することが外部に出ないようにすること 3 チームメンバーにこれ以上の犠牲者を出さないこと 4 私の事件を鈴木宗男氏逮捕の突破口にしないこと 私はプライドこそが情報屋の判断を誤らせる癌と考えている。別にプライドをかなぐり捨てて、大きな目的が達成できるならばそれでよい 自分の盟友を「犯罪者だ」となじり、自己の無罪主張をすることになれば、私と親しくする人々は私についてどう考えるであろうか 人数は少なくてもいい。ただし、ほんとうの友だちを失いたくない 性格だと思う。自分で納得できないとダメなんだ。 クロノロジー(日付順の箇条書きメモ)をつくってこい 情報は人につく 私の記憶術は映像方式だ。手帳のちょっとしたシミ、インクの色を変えること、文字の位置を変化することで記憶を再現する手がかりが得られる 外交に触れたばかりの政治家は極端な自国中心主義、排外主義的なナショナリズムに陥りやすいが、だいたいこれは一時的現象で、国際政治の現実に対する認識を深めると極端な自国中心的なナショナリズムが日本の国益を棄損するとの認識も強くもつようになる 談合というのは日本の文化なんで、絶対になくならないんです。本気で価格競争でたたき合ったら、会社ももたないし、それに手抜き工事が起きたりしてみんなが迷惑する 国家権力が本気になれば何でもできるのだ 目次 序章 「わが家」にて 第1章 逮捕前夜 第2章 田中眞紀子と鈴木宗男の闘い 第3章 作られた疑惑 第4章 「国策捜査」開始 第5章 「時代のけじめ」としての「国策捜査」 第6章 獄中から保釈、そして裁判闘争へ あとがき 文庫版あとがき 解説 川上弘美 ISBN:9784101331713 出版社:新潮社 判型:文庫 ページ数:560ページ 定価:850円(本体) 発売日:2007年11月01日発行 発売日:2008年04月25日7刷
フィクションかと思うほど自分の生活からかけ離れた世界だった。 ロシアとかソ連に全然詳しくないから最初は読むのが苦しいけど、そこを乗り越えるとすごく面白いし、何より勉強になる。 北方領土辺りの情勢を知りたい人にはいい本ではなかろうか。 外交官って思っていたより何倍もタフで頭が良くてコミュニケーションが...続きを読む上手くないとやっていけないんだろうなと感じた。 ページ以上に中身のある本。
面白かった! この本から得られる知識は次の3つだろう。 1. 外交のやり方(日露外交について、細かく書かれている) 2. 国策捜査について(政治家の不正がどうやって明るみに出るのかわかる) 3. 拘置所の生活について(著者が勾留されていた時の話を書いている どこも馴染みがない世界の話で、とても面白...続きを読むかった。 ただし、著者の主観で書かれているので、本書の内容を全て事実として信じるのは軽率な行動だと思うが。
時折、本の内容などわからないまま、手に取ることがあります。そして、読んだ後に自分の予想を裏切る本に出会うことがあります。本書はまさにそんな一冊です。 著者が記す外務官僚のリアルや背負っている仕事内容、検察との闘いなど我々の仕事とも異なる独特な世界が広がっていました。 面白い一冊でした!オススメ!
佐藤優さんの本はとても面白く、いくつか読んでことがあったのに、佐藤優さんとは何者なのか全く知らなかった。元外務省職員だったということすら知らなかったことに気づいて、この本を読むことにした。 内容は想像もしていなかった世界について書かれていて、国策捜査という概念があることも知ったし、絶対に争うことの...続きを読むできない国家権力の強大さに関係ないはずの自分でも背筋が凍る思いをした。 とはいえ、怖いマイナス面だけでなく、国益のために頑張っている役人たちがいることに嬉しくなったし、何よりも佐藤優さんの信念の強さや人と人との関係を大切にする人柄を知って、より好きになった。 もっと他の本も読みたいと思った。
佐藤優、読めば読むほど興味をそそられる。それにしても、鈴木宗男事件、そして外務省の内部事情が垣間見られて興味深い。国家捜査にひっかかって運が悪いといって済まされる問題ではないと思うが、それを受け入れる佐藤優。本当に強く、頭がいい人だと思う。そんな人が書く文章だから、惹き込まれるしおもしろい。ここに出...続きを読むてくる人たちのその後がとても気になる。事件の真相は、2030年に関連文書が公開されることに明らかになるとのことで、それはとても楽しみだし、それに対して佐藤優に改めて書物に纏めるなどし、改めて総括してもらいたい。
遅まきながら国策捜査というものの真髄を知った。当時の政治的社会的背景から見ることにより、あの事件はなんだったのかということも、遅まきながら理解した。
今さらながら。 鈴木宗男氏と佐藤優氏については当時のワイドショーレベルの知識しかなく興味もなかった。 ふと対ロシア外交と佐藤優氏に興味があり読んでみたところ… 何だこの内容の濃さは、ほとんど小説ではないかと驚愕。いろんな驚きと学びが去来する異様な読者体験となった。 ロシア外交とインテリジェンスの世界...続きを読む、政争と国策操作、拘置所と刑事訴訟手続きなど、それぞれ1テーマで出せそうな内容が出るわ出るわ。しかも内容が具体的かつ理論構成が整理されているので、素人にも分かるように書かれている。 佐藤優氏の怪人ぶり(驚異的記憶力と博覧強記)とストイックな人生観に妙な感動を覚えます。 戦争と平和があるのではなく、戦争は外交の延長にあるのが現実なのであれば、安全保障、食料、エネルギーを海外に依存している日本にとって外交は生命線であるはずで、ロシアや中国といった強大かつ文化的共感のない敵性国家とどう付き合っていくかは死活問題と思われる。 氏の他著作を読んで勉強したい。
鈴木宗男氏絡みの事件で実刑判決を下された、元外交官がその顛末を書いた本。 誰かからの指示で、国策捜査として鈴木宗男氏を逮捕することが決まり、それに捲き込まれてしまった著者。ちょっと信じがたいのだが、この本を読む限り恐らく事実だと思う。なんとも恐ろしい世界。 北方領土の返還を実現させるべく、高い知...続きを読む性と熱い情熱を持って仕事をされていた著者が、このような顛末になるとはなんともやるせない気持ちになる。 ロシア要人たちとの外交や拘置所ないでの生活など、知らない世界を知る意味でも面白い。 面白いしためになる、誰にでも一度は読んでもらいたい素晴らしい本でした。
プライドは邪魔なので持たない。 悪かった、悪かった、運が悪かった。 国民の雰囲気が罪を決める。 内容は言うまでもなく面白い。こんなすごい作家が元官僚で、しかもノンキャリアだったことに日本の官僚は凄いと思ったものだが、国策捜査の恐ろしさ、検察の取り調べ、留置所の生活を冷静な視点で描いているところも...続きを読む斬新であったし、ロシアとの北方領土問題についてもこんなに詳しく書かれたものは読んだことが無かった。それもそうで、条約交渉は外交機密のため、下手な事を書くと国益を毀損する恐れがあるので、ほとんどの人が書く事ができないのだ。著者によると情報(インテリジェンス)関係者から許しを得て詳しく書けない部分はありながらも、かなりわかり易く書かれているのだ。 「国策捜査は時代のケジメ」確かに私にも振り返ってみると得体の知れない高揚感や嫌悪感を感じたことがある(小泉政権誕生や、ホリエモン騒動など…)。 初めて本書を読んだ時に著者の博覧強記に驚いたが、その後の作品を読む毎に、これがヨーロッパのエリートが持っているべき教養なのかと恐れのようなものを覚えた。 キリスト教に基づいた教養というものは、私にはピンとこないし、哲学、語学、歴史もちょっと本を読んだくらいでは身につくものではない。きっと上流階級の方たちはそのような教養を身につけているのだろうが、こんなにさり気なく教養をまぶしてくる著者は一般家庭て、団地出身である。 本書を読み、興奮し、その後著者の本をかなり読み漁ったが底知れない知識に佐藤優さんとは凄いものだなと思い知らされた。
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佐藤優
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